書きかたの注意(ワープロ出力の場合)

禁則処理を無効に・プロポーショナルフォントは非推奨

内容証明郵便の作成では句読点「、。」は、常に1文字と数えます。行末に詰め込んでしまうことは認められません。

ですから手書きでも、ワープロ出力でも、句読点が行頭にくることがあるわけです。カギ括弧の、閉じ括弧 」←これ もおなじように、行頭にくることになります。

そこで、内容証明郵便の作成でワープロソフトを使う場合は禁則処理を「行わない」ように、設定を変更する必要があります。禁則処理というキーワードでヘルプを検索してみてください。

また、使う文字が全角でも半角でも1文字と数えます。この点で、単に1行20字禁則処理なしの設定にして安心してはいけません。半角文字がはいっているために、字数制限をこえている行の存在を担当者に指摘されて破綻することがあります。みばえは悪くても、本文は全角文字で統一した方がよいです。

なお筆者は、会社名などが英字の時は、名宛人のところだけ、字数に注意して半角にして体裁をととのえ、本文中は全角にしています。全角も半角も1文字なので、混ぜてつかうこともかまわないのですから。

一行の字数については、プロポーショナルフォントを使うと知らないうちに文字の間隔が調整されますので、行末に1文字よけいに入ることがあります。注意してください。Windowsユーザーであれば、『MSP明朝』(Pはプロポーショナルフォントの意)ではなく『MS明朝』を選んでおけば安心です。ワープロソフトの書式設定で、文字数優先の設定があればそれを用いるのもよいでしょう。

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行数・字数の制限と選択および、応用

これは、字数と行数を柔軟に設定できるワープロ出力に固有の問題です。

内容証明郵便では、一枚の行数・一行の文字数の制限には、幅があります。この制限に収まっていればよいのです。

横書きの場合は、1行26字以内、かつ1枚20行以内です。

縦書きの場合は、1行20字以内、かつ1枚26行以内です。

つまり一行20字、一枚20行なら縦書きでも横書きでも、この制限を満たします。縦書きでも横書きでもどちらでもよいのですが、筆者は横書きで1行26字、1枚20行の設定を推奨します。

理由は、名宛人の住所や会社・事業場名としてしばしば長いものがでてくるために1行を長くとった方がよいからです。文書としても見栄えがよいこと、たくさん書けるので枚数(経費)削減につながること、行の数が減るぶん行末の処理に悩むことが少ないこともあげられます。

横書き1行13字1枚40行という設定もできますが、妙に行が増える点でおすすめできません。

ただし、箇条書きにするなどで改行がたくさんある文案を作りたい場合は、行数を多くとるほうが結果的に、1枚に収容できる文字の数を増やせます。

※一文30文字で、箇条書きを10件つくった場合を考えてください。

1行26字にとると、行頭から26文字書いて1行つかい、2行めは4文字書いて改行します。これが10件あれば、20行必要になりますね。26字20行の紙1枚を消費します。

しかし、これを1行13字、1枚40行でつくると、30行で済む計算になります。つまり、まだ10行ぶん書けるスペースが残ります。

…ささいなこと、と思いますか?でも労働紛争においては、実際に活用の可能性があります。以下に見てみましょう。未払い給料の請求で

  • 平成23年1月分 金18万5千円(改行)
  • 平成23年2月分 金17万8千円(改行)

−中略−

  • 平成24年12月分 金18万6千円(改行)

これで一行16〜17文字ですね。24ヶ月分箇条書きにすると、1行26字の設定でも行数としては24行必要になります。ほぼ一枚使ってしまいます。名宛人と差出人の名前をかくには、2枚必要になります。

一行の文字数を少なくしたらどうでしょう?

平成23年につき(改行)

  • 1月分 185000円(改行)
  • 2月分 178000円(改行)

−中略−

平成24年につき(改行)
−中略−

  • 12月分 186000円(改行)

これだと、常に一行13字に収まります。24ヶ月分箇条書きにしても、消費するのは26行ですみ、1枚40行の設定ならまだ14行残っています。うまくやれば名宛人と差出人を書いて、1枚に収まるかもしれません。内容証明は本文1枚増えるごとに250円必要です。喫茶店でとはいわないまでも、自動販売機でコーヒー一本分以上の節約になります。

ここまで極端ではなくても、制限を満たしながら行数字数の設定と表現を自在に変えることは必要だし可能です。

その一方で他の事務所のウェブサイトでは、『ワープロで作る場合には(禁則処理の問題から)一行19字にしましょう』などと書くものもあります。なんだかもったいない話です。

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Last Updated : 2013-07-09  Copyright © 2013 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.