贈与登記の必要書類贈与での所有権移転登記を自分でするために
目次 『名義を変える』ということは…?
- 土地や家の名義変更の話の前に(登記原因はなんですか?)
- 知っている人から世間相場なみの値段で売ってもらう(売買)
- 他の負担や出費と引き替えの不動産譲渡(売買・負担付贈与・代物弁済)
- タダで譲ってあげる・譲ってもらう(贈与)
- 離婚後の夫婦による、土地建物の名義変更(財産分与)
- 土地建物の持ち主による相続対策(売買・贈与など)
- 知っている(あるいは、知らない)誰かが亡くなった(相続)
- 登記の準備(生きている人から不動産を譲り受ける場合)
生前贈与の相談・不動産登記の費用名古屋市の司法書士・FPです
所有権移転登記に必要な書類贈与による不動産名義変更
不動産をあげる人贈与者
- 登記済証または登記識別情報(権利書)
- 印鑑証明書
- 実印を押した委任状
- 譲り渡す不動産の、固定資産税の評価証明書
不動産をもらう人受贈者
双方が共同で用意するもの
上記のうち、贈与での登記申請で注意することを説明していきます。
登記原因証明情報になるもの
贈与による所有権移転登記では、必ず贈与契約書の作成が必要なのではありません。贈与契約書と別に登記原因証明情報を作成して、所有権移転登記申請書に添付して登記申請をすることができます。
以下のようなものでも、贈与による所有権移転登記に添付する登記原因証明情報として使えます。『登記原因証明情報 贈与』で検索すれば見本はたくさん見つかります。
市販の贈与契約書は贈与者・受贈者および両者での贈与があった事実や所有権移転があった日付は記載できるようになっていますので、あとは不動産の表示を適切に記載すれば、登記申請書に添付する登記原因証明情報に転用できます。
登記原因証明情報
登記の目的 所有権移転【1】
登記の原因 平成30年4月1日贈与【2】
当事者 贈与者 【3】
受贈者 【4】
不動産の表示【5】
所在 名古屋市緑区鳴海町字長田
地番 ○○番
地目 宅地
地積 ○○.○○u
登記の原因となる法律行為
1.贈与者は受贈者に対し、平成30年4月1日【6】、本件不動産を贈与しました。
2.よって本件不動産の所有権は、同日、贈与者から受贈者に移転しました。
平成30年4月2日 名古屋法務局○○出張所【7】 御中
上記のとおりまちがいありません。
贈与者 住所・署名・捺印【8】
受贈者 住所・署名・捺印【9】
※A4の紙に、適当に編集して出力してください。
【】内の注意に従って記入し、【】を削除するとできあがります。
注意
【1】不動産を手放す人(贈与者)がこの不動産の持分100%を持っており、それを全部、もらう人(受贈者)に移す場合の例。贈与者か受贈者がこの不動産を共有する場合は、登記の目的は所有権移転と書かない。
【2】贈与を受けることで合意が成り立った日を書くこと。休日でもよい。
【3】住所と名前を書く。この不動産に所有者の住所として登記されている住所(または、所有権登記名義人住所変更登記をへて変更された登記上の住所)と一致しており、かつ印鑑証明書・委任状記載の住所と同じこと。ワープロで印字してよい。
【4】住所と名前を書く。住民票・委任状の記載と一致していること。ワープロ印字可。
【5】権利書に書いてある不動産の表示をそのまま書けることが多いが、事前にこの不動産の全部事項証明書か登記情報を取って記載を確認すること。区画整理や土地改良・市町村合併があった場合には、全部事項証明書等をかならずとってその記載通り書く。
【6】当然ながら、【2】と同じ日付であること。
【7】登記申請を出す法務局を書く。作成した日付は、【6】の日と同じかそれより後であること。
【8】できるだけ自分で書く=自署するのが望ましい。実印で捺印する。
【9】【4】と同じように書く。
贈与による所有権移転登記申請書の書式
標準的なもの
法務省ウェブサイトで「5.所有権移転登記申請書(贈与)」が入手できます。
登記申請書・贈与契約書・登記原因証明情報・委任状が含まれていますが土地付き一戸建て住宅の贈与を想定しています。マンションの不動産の表示の記載は、別に参照する必要があります。
マンション(敷地権付き区分建物)の不動産の表示の記載は、「14.登記名義人住所・氏名変更登記申請書」を参照することができます。
敷地権化されていないマンションの参考書式は同ウェブサイトにはありません。
画像検索結果へのリンク
不動産をもらい受ける人(受贈者)の、住民票
親族間で不動産を贈与する場合に、不動産を譲ってもらったあとで自分がその不動産に住むつもりだが、いつか手放すかもしれない、という場合もあるでしょう。こうした場合には、登記申請のときまでに住民登録を贈与された不動産の住所に移しておいて、新しい住所になった状態で登記申請をしたほうがいいと思います。
そうしないと、贈与されて住み始めた不動産をさらに他の人に贈与したり売却したりする際に、不動産の持ち主の住所として旧住所で登記されていることになります。これを転売等の時点での住所に変更する登記が必要になるためです。つまり、無駄な費用が発生します。
ただ、子供の学区の変更とか、ある時点での所有者に課税される法定外普通税(たとえば別荘等所有税)の課税などの負担を回避したいという理由で転居の届出を早めたり遅らせたりする、ということのほうが重要になってくることもあります。
登記上の所有者の住所を書き換える登記(所有権登記名義人表示変更登記)の費用は、司法書士に頼んでも不動産一件あたり1〜2万円です。この登記申請こそ自分でもできるということを覚えておいて、いつ住民票を移すといいか決めればよいでしょう。
参考文献
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