労働相談業務 > よりよい労働相談のために(目次) > こんな相談者はダメ > お母さんから説明します

お母さんから説明します労働相談の当事者は娘/息子です

お客さん、お年はいくつです?と聞きたくなってしまいます。
当事者でない人は黙っててくれ、と言いたいこともあります。

男女問わず、若い方が労働相談にこられる際に親御さんが一緒にこられること自体は差し支えありません。むしろ、一緒に考えてもらうのもよいと思うのです。

この相談者、大人なのか?と思ってしまうのは相談の際に、当事者ではない親御さんばかりが説明してきて肝心の子供=年齢的には成人の相談者が黙っていることです。こうした相談では、親という別の人が説明することで本人が直接経験した事実が聴けなくなってしまいます。これは労働相談の効果が上がりにくくなることにつながります。

事実の聞き取りができないほかに、労働者本人が自分の労働紛争をどう解決したいのかがわからない、というのも本人以外の人が介入してくる相談の悪い点です。当事者である子供(といっても成年者)は特に争う気がないのに、親のほうがしきりに問い合わせのメールを出してきて「何か手はないのか」「泣き寝入りするしかないのか」などと眉間にしわを寄せて迫ってこられても、直接の依頼人になる人は親ではなく子供のほうである以上、こちらも対応のしようがありません。

特に、本人訴訟を前提に相談にあたる筆者の事務所では、「本人が紛争解決に積極的に動いてくれなさそう」というのは致命的でして、こうした相談が具体的な裁判手続き等のご依頼につながることはほとんどありません。

阻止行動をとられるのも迷惑です

積極的に介入してくるのも迷惑ですが、逆に息子や娘がちゃんと裁判手続をとろうとしているのにこれをやめさせようとする親・配偶者もいます。理由としては「少しくらいの苦労なら人生勉強と思って受け入れるべきではないか」とか「同じ業界で働き続けるのだから、相手と対立しないほうがいいだろう」ということです。

そうやって自分が負け組になるだけなら勝手にそうすればいいですが、大人になった子供に干渉しているうちに世の中全体が悪くなるとは思わんのかな、と考えさせられます。端的に言えば不正を放置する社会を子供に残そうとしているわけですから。むしろこのタイプの親のほうが、社会的には害があるかもしれません。

とはいえ親も子も成年者なので、こちらで説得して翻意させることはしません。

積極的な介入ではなく、自分で紛争を解決しようとする本人をあたたかく見守るといいましょうか、時折相談にのったり励ましたりしながらそばにいてくれるご家族の方は、筆者から見ても大変ありがたい存在です。相談者の脇にいるのがそうしたありがたい方なのか邪魔な介入者なのかは、労働相談の際に注意深くみています。

ページトップへ戻る
ページトップへ戻る
Last Updated : 2018-08-10  Copyright © 2014 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.