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電話で!今すぐ!無料で!それで効果が上がる労働相談はあるのでしょうか

仕事中に電話をかけてきて、「そちらのウェブサイトをみて、ちょっと聞きたいんですが」という方がおられます。労働相談に限りません。

すぐに、しかも無料で相談することはないと答えるのですが、「かんたんなことだから」と食い下がってくる方もいます。

無理です。こちらは他の仕事をしています。

そういうことは顧客誘致のために無料電話相談をやると言いふらしている事務所でならいいでしょう。
逆に、無料相談を電話でやると明言していない事務所に対してこうした電話をかけても間違いなく取り合ってもらえません。あたりまえです。

ラーメン屋さんに行って「ラーメン一口だけでいいからタダでくれ。今すぐに」と戸口で呼ばわる人はいるでしょうか。
それはただの非常識な人です。

法律事務所や司法書士事務所が提供するサービスの本質が知識や情報であり、まさにそれをタダでくれ、と言うのですから、ラーメン屋さんでラーメン一口タダで食わせろというのと同じです。相手にしてもらえると思う方がおかしいのです。
最近は顧客誘致のための無料法律相談あるいは労働相談が、士業の事務所のマーケティングの手段として推奨されています。そんな事務所が増えたからといって、どんな事務所でもタダで問い合わせに応じると考えるのは都合よすぎです。

デパートの地下でならいろいろ試食ができるからといって、そのデパートの隣にあるラーメン屋さんで「ラーメン一口試食させてくれ」という人はいないでしょう。ところが士業の事務所には、そうした問い合わせをかけてくる人がいるのですからおかしな話です。

ウェブサイトで問い合わせ先を探す場合、その事務所が無料で相談を受け付けるかどうかは明示されています。電話での問い合わせや相談が無料という表示がない事務所では、労働相談は予約を入れて所定の料金を払って行うものだと考えてください。

無料相談をする事務所への電話で『相談』になるでしょうか?

ならば無料相談をするとウェブサイトで言っている事務所の相談はどんどん使ってやればいいのではないか?そう考えるのは単純過ぎます。

コンサルタント会社が出している士業向けマーケティング手法の解説本には、無料相談が見込み客獲得テクニックとして挙げられています。言ってしまえばそうした事務所にとって、無料相談は儲かる依頼を集めるためのエサです。

この点から、無料相談を利用しようとする人に対して『儲かる依頼でないならば無料相談を提供しない。無駄だから』という対応が出てくるのは当然のことです。

逆に、儲かる依頼と知られた案件には営業まがいの電話が何度もかかってくる事例もごくまれですが発生しています。請求額数百万円のシンプルな残業代請求は、受けてしまえば100万円単位の報酬=売り上げをその士業にもたらすからです。

問題が大きいのは営業活動として食い下がられることではなく、儲からないと見切られた問い合わせの切り捨て・たらい回しが膨大に発生することです。労働者がうっかり無料相談を使おうとすると、紛争そのものの性質とは関係ない理由で相談担当者から消極的見解が出てきてしまい、最終的には泣き寝入りへの意思決定につながります。

なかには士業の事務所でも純粋に善意で維持されている無料相談があるかもしれませんが、それだけやっていて相談担当者が生活できるわけもありません。

民事法律扶助制度の適用を受けて士業の事務所でおこなう無料法律相談を除いて、無料相談(特に、電話での無料相談)は士業による顧客選別の手段に過ぎないと考えれば、今まで受けた対応の理由がわかってくるかもしれません。


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Last Updated : 2018-08-10  Copyright © 2014 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.