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終わりに−事務所を試せる質問は?−
いい事務所は簡単には見つかりません少しはよさそうな依頼先を探すなら
これまでの説明で、労働相談をする側にも受ける側にもさまざまな限界や問題があることはお伝えできたと思います。
では、実際にはどんな事務所を選べばいいのでしょう?相談の段階で、担当者の良し悪しを見抜く質問はあるのでしょうか?
残念ながら、一つ二つの質問で担当者の質がわかることはありません。
「私は勝てるのか」という質問はきっとどんな相談者もしたくなるはずですが、残念ながら慎重な人ほど回答しない質問です。この質問はしても無駄と考えなければなりません。
「私が負けるとしたらなぜか」これは鬱屈した良問、かも
逆に、その事案で
「負ける(依頼目的を達成できない)としたらどんな理由が考えられるか」
は各相談担当者の知識・経験・想像力を鋭く試すものになります。
攻撃力というより防御力を試す質問といえますので、時間に余裕がある労働相談ではぜひ聞いてみてください。
依頼のための事務所選びを前提に労働相談の担当者を試せる質問を一つだけ挙げるとしたら、筆者はこの一問をおすすめします。
このほか、いくつか押さえておきたい質問や確認を挙げてみましょう。
労働相談の担当者が弁護士でない場合社労士・行政書士など
- 担当者が持っている資格で、相談者のためにできることはなにか
- 担当者が提案する手続きが失敗した場合、一般的な次の対応策はなにか
弁護士を含む全ての事務所について
- その事務所で依頼を受けてくれるのか(これは、30分程度の相談では回答が得られないかもしれません)
- 報酬や実費はいくらかかるのか。費用の上限は設定できるか
- 過去に似た依頼を受けたことはあるか
これらの質問への回答を得ていくなかで、センスがあったり誠実な担当者が見つかることはあるはずです。特に次の点に注目してみてください。
相談担当者の対応について
- 相談者からの質問に含まれない問題点に気づけるか
- 解決案の選択肢を豊富に・柔軟に考えられるか
- 相談者の説明だけでわからない事実関係について、補足の質問が積極的に出てくるか
- 相談者の側からだけではなく、対立する相手の側からみた相談者側の弱点や予想される反論を想定し、対策してくれるか
最後にとても基本的なこととして、あなたの話をしっかり聞いてくれるか、というのももちろん重要です。
これらのことをちゃんと聞き取ろうとすれば、そのへんの事務所が受け付けている電話無料相談などではとても無理だと気づくはずです。
筆者の事務所では、そうしたことにお気づきのお客さまからの労働相談や裁判書類作成のご依頼をお待ちしています。