労働契約の否定・不存在業務委託・請負・準委任・在宅勤務などの法律相談
労基署が関与しにくく、訴訟で決着をつける必要性が強いです
業務委託契約をはじめとして、さまざまな名目で労働契約以外の契約を結んで人を働かせる場での紛争の相談も増えています。この類型の紛争も、労基署への相談を推奨しません。
労働法の知識を要する労働紛争でありながら労基署が関わりにくい、というのが問題です。
就労実態をみないと、労働契約への該当性は判断できません
実はこの国の労働法では、どんな人が労働者かを明示的に決める規定がありません。
労基署は基本的に労働法の適用あるいは違反を扱う役所なので、役所側からすれば見かけ上は業務委託契約になっている契約での紛争は「自分のところで扱えるかわからない」という理屈がでてきます。そのため通常の労働者よりさらに悪い条件で使われている業務委託作業者に労基署はなにもしない、労働相談すらできない、という結果が導かれるわけです。
最終的に、ある契約が実際に労働契約にあたるか否かは働き方の実態を主張立証し訴訟で決めるしかないので、弁護士への法律相談を推奨せざるを得ません。
持参書類
基本的なもの作業内容の整理が必須です
- 企業側との契約書
- 企業側の求人広告やウェブサイトの写し
- 上記のほか、事業主や担当者と面識を得てから就労開始に至るやりとり全部
- 報酬や賃金の支払いの明細書ほか、支払日と金額がわかる記録
- ある一日について、誰から指示を受けてどのような作業をしているかを書きだしたメモ
法律相談担当者としては、まず見かけ上の契約の内容を正確に把握したいところです。
ですので、有利なものであれ不利なものであれ、とにかく契約書やお金の支払い・受け取りに関する記録を集めてください。それが労働契約書や給与明細ではなく請負契約書と請求書でも、当然集めていただきたいです。さらに、どうやって相手の会社を知り、どのような説明を受けて契約を締結し働き出したのかの経緯も確認します。
どんな仕事をしていましたかどんな指示が誰からありますか
その契約に基づいて働いていた状況の実情も知る必要があります。
証拠はなくてもかまわないので、まずあなたが「ある一日について、どのような仕事をするのか」をできるだけ細かく書きだしてください。
労働者性を判断する場合、業務に関する指示が誰からどのようになされるのか、業務上の指示や作業を拒否できたり選べる実情があるのかも伝えることが重要です。労働相談が適切にできる担当者なら、これらを意識してさらに質問を出してきます。
労働者性の判断を要する法律相談は特に難しいと考えます。
こうしたメモがないと、30分どころか1時間で相談を終えることもまず無理です。
相談機関
- 社会保険労務士会(一般的な情報を得たい場合)
- 弁護士
自分の働き方の実情が労働者に該当しそうかについて、一般的な判断を知りたい場合のみ社労士会の総合労働相談室への労働相談は可能です。
ただし、労働者性を前提に労基法所定の権利を実現するための手続き(特に、訴訟)については、具体的に手続きの依頼を受ける人の技量に影響されるので、最終的には弁護士または司法書士に相談せざるを得ません。司法書士への法律相談は制度上できることがあるというだけで、その相談先がよほどの経験を持っていないかぎり推奨しません。
個々の弁護士の事務所で法律相談をする場合は、相談のときに担当者があなたの働き方の実情をどれだけ詳しく聞き取ってくれそうかに注目してください。さしさる質問もせずに労働者側が持ち込んだ資料だけで判断するような士業への依頼・相談は推奨しません。