登録免許税など、必要な費用所有権移転登記を自分でするために
目次 『名義を変える』ということは…?
- 土地や家の名義変更の話の前に(登記原因はなんですか?)
- 知っている人から世間相場なみの値段で売ってもらう(売買)
- 他の負担や出費と引き替えの不動産譲渡(売買・負担付贈与・代物弁済)
- タダで譲ってあげる・譲ってもらう(贈与)
- 離婚後の夫婦による、土地建物の名義変更(財産分与)
- 土地建物の持ち主による相続対策(売買・贈与など)
- 知っている(あるいは、知らない)誰かが亡くなった(相続)
- 登記の準備(生きている人から不動産を譲り受ける場合)
登記を自分でするための相談・現地調査代行の費用名古屋市緑区の司法書士です
登記の手続きに必要な費用
登録免許税
登録免許税の税率は登記原因で異なるので、各項目の説明を参照してください。
なお、一つの不動産を数人で共有している場合や持ち分の一部を移転する場合には、今回名義を変える持ち分の割合をかけて計算します。
100万円の建物の30%の持分を持っている人が、その持分について、他の人に名義を変える場合には、登録免許税の額は
100万円×持分30%×税率2%=6千円 です。マンションの敷地権についてもおなじように計算します。つまり
マンションの敷地の、評価証明書記載の価格×敷地権の割合×税率2%=登録免許税のうち、土地の部分についての額
ということになります。税率が2%になるのは贈与・財産分与で所有権を移転する場合です。
登録免許税の計算にはまず不動産の価格を合計して1000円未満を切り捨て、これに税率を掛けて100円未満を切り捨てます。所有権移転登記でこの計算をした結果の税額が1000円を下回るときは、税額は1000円に決まります。
表計算(Excel)を用いる場合、セルA1に不動産価格(の合計)、B1に登録免許税の税率(2%ならば、0.02)を置くなら
登記申請書に記載する不動産の価格は
=rounddown(A1,-3)
登録免許税額は
=rounddown(rounddown(A1,-3)*B1,-2)
で計算できます。
所有権移転登記でこの計算をした結果の税額が1000円を下回るときは、税額は1000円に決まります。
たまに、これを司法書士の報酬とまちがっている人がいます。
司法書士は登記のためにこの実費をあずかるだけで、ちゃんと法務局に納付しています!
登記の調査に関する費用
法務局で全部事項証明書を取得する場合1通(1物件)600円、登記事項要約書は1通450円、インターネットで登記情報を見る場合には、1物件335円がかかります。インターネット経由で全部事項証明書の送付を請求することも、いくつかのソフトをダウンロードしてインストールする手間を惜しまなければ可能です。この場合、法務局でなら1通600円の全部事項証明書が、1通500円で郵送されてきます。物件の所在が正確にわかっていて、書類の取得を急がず、多少の手間がかかってもいいならやってみたらいいでしょう。司法書士のみならず不動産業者でも普通に使うシステムですので、そうしたお知り合いがいるなら頼んでみる、というのも一手です。
この調査費用、複数の不動産を一度に売買したいとなると無視できないお金になります。だからといって、こうした調査を省略するのは危険です。
得られる登記情報のなかみは、法務局で全部事項証明書をとるのとインターネットで登記情報を見るのとで、情報の内容はほとんど同じです。ただし、ウェブサイトに表示される画面・ご自分のPCからの印刷によって見られるのはあくまでも情報のみであって、、事実を証明する能力はありません。ですから登記の状況をしらべるだけならいいが、税務関係の申告には使えない、ということになります。全部事項証明書は法務局の窓口か、インターネット経由での請求で手に入れることになります。
法務局で交付される登記事項要約書は、証明能力はないし現在効力がある登記事項しか表示されませんので、特に所有権移転登記の前の調査では使わない方がいいと思います。いまの持ち主が、いつどんな原因で誰からその不動産を取得したのかがわかりませんから。
たとえば、いまの持ち主がその不動産の100%の持分を持っていたとします。登記事項要約書をみるかぎりでは、所有者としてその人の名前だけが挙がっています。
この人がこの不動産を取得した理由は、相続で100%の持分を取得したから、かもしれません。
この場合には、この人が持っている登記済証(権利証)は1つです。
しかし、贈与で10回に分けて持分を取得しているかもしれません。
この場合には、持っている登記済証(権利証)は10個、ということになり、これらを全部添付しないと通常どおりの登記申請ができません。
そしてこの、現在の持ち主がいつどうやってその不動産を取得したかが、登記事項要約書からは読みとれないのです。ですから、すでに一度全部事項証明書やインターネットでの登記情報をとってある場合の後で補助的につかう場合を除いて、この登記事項要約書の利用はあまりお勧めできません。
ここであげた全部事項証明書等ですが、法務局で無料の登記相談を利用する際にも、これがあったほうがいいことがあります。上記のとおり、複数回にわけて持分を取得した人から不動産を買うのに、登記済証(権利証)はいくつ必要か、というようなことは、全部事項証明書等をみないと相談担当者もわかりません。
ところでこの、『事前に登記を調査するための費用』ですが、司法書士が行うとやはり実費の他に報酬が請求されることがほとんどです。金額としては1件1000円程度が多いようです。私は、やるとわかっている作業については別立てで請求する理由はないと考えていますので、書類作成の報酬に含めています。
登記のあとに、一時的に発生する費用
不動産取得税(不動産を譲り受けた人)
不動産の保有にともなって発生する固定資産税や都市計画税は、ずっとおさめていかねばならないものです。このほか、不動産を売買・贈与・財産分与・交換など相続以外の原因で譲り受けた人について、取得後一回限りですが『不動産取得税』が発生します。
税率は
- 固定資産税の評価証明書記載の価格×3%
です。
住むための住宅や宅地の取得であれば軽減措置がありますが、そうでなければ結構な金額になりますね。しかも次の年に請求がくるまで忘れてしまうこともあり、文字通り『忘れた頃に』やってきます。不動産登記をしてしまえば権利が動いたことは把握されますので、これを逃れることは不可能です。たまに『なんとかならないの?』と聞いてくる人がいますが…少なくとも私には考えつきません。
参考文献
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