相談室からひとこと

裁判所の民事調停と似ているようで実は全然ちがう、というのがこの『あっせん』です。

具体的には、訴訟手続と連続しない・県労働委員会のあっせん手続きなら労働側・経営側・公益委員3人のあっせん委員のうち、労働側委員としか話をしないことがある、各県労働委員会の方針にもよるが、一回の期日で終結させることを目指しているところがある、というような点で、民事調停とは大きく異なります。

そしてこれらは、うまく使えれば労働者に有利になります。

まず、裁判手続と連続しないのであれば、あっせんで相手やあっせん委員の反応をみてどうにも旗色が悪そうなら訴訟そのものをあきらめるというのも一つの選択です。(会社側があっせんに同意せず、あっせん手続きそのものが開始されない場合は別です)

また、県労働委員会のあっせんのように一件の手続きで最大3人のあっせん委員が選任される事案では、労働者側と話をするのは常に労働者側委員、ということがあります。労働者側委員が労働者の話を聞き、使用者側委員が使用者側の主張を聞き、別室で労働者側・使用者側・公益の三人のあっせん委員が協議する、という形になります。

つまり、話し方として多少の失敗があっても労働者側委員が間に入ってフォローしてくれることが期待できます。この点では、手続きさえ始まってしまえば自分で進めてみたい人向けの手続です。

なんといってもすばらしいのは、各県労働委員会によってちがうのでしょうが、『双方が譲歩できるなら、1期日で終わらせる』方針をとることがある、ということです。

具体的には、中国地方のある県の労働委員会ではこうでした。おかげで朝10時にはじまった期日は、30分の昼休みを挟んで午後3時半に妥結して終了となりました。

あっせんで扱う金額には上限はありませんから、少額訴訟のように60万円まで、という制限を気にする必要がありません。まる一日割いてことを終わらせられる可能性がある、逆に言えば、解決への目がなくてもそのことが一日でわかる、というのは大変ありがたいことだと思います。

また、労働者と労働者側あっせん委員との話を労働者側あっせん委員が、ほかのあっせん委員に持っていくという形になっていましたので、手続きの進み具合はあっせん委員の力量に依存することが大きいのですが、一方で労働者側あっせん委員は、かなり明確に労働者側を援護する立場をとることがあります。

これは、一人で手続をすすめようとする人にとって心強いですね。

ただし、こうは言っても無条件でこちらの要求を通すように活動するわけではありませんので誤解なさらないように。私が補佐人として出た事案でも、むしろ自分の依頼人に譲歩を促して『1日で、取れるものを取って終結する』よう行動したこともあります。この辺が柔軟にできない人には、むしろ専門家の同行が必要だと思います。

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だから、あっせん不成立の場合にも対応できる料金体系にしました

以上のあっせんの特徴を見るとおり、この手続は民事訴訟などの裁判手続の前に利用を検討するべきものです。無料で専門家を解決に関与させる、訴訟よりは簡単な手続であるという大きな長所がありますから、本人が手続を行うことで安く労働紛争の解決をはかるなら、まずこちらの利用を考えてもよいかもしれません。

一方で申し立ての相手方が手続に協力しないことへの制裁は全くないので、あっせん不成立の際には裁判手続の利用も当然考えておかなければなりませんし、そもそもあっせん開始にさえ至らない事案が相当数あることは手続き選択にあたって考慮しなければなりません。

あっせん成立の場合でも実際に和解金などの支払いが行われない場合には、あっせんで合意したお金の支払いを求めて民事訴訟をおこす必要も出てきます。制度の利用者にとっては、あっせんと裁判手続は連続して実施するものになることがあるわけです。しかしながら都道府県労働局・県労働委員会のあっせん申立書類の作成には司法書士は関与できず、裁判手続に社会保険労務士は関与できません。

これに対応するものとして、社会保険労務士と司法書士を兼業する当事務所のご利用をおすすめしたいと思います。当事務所ならこの二つの手続を一つの事務所で連続して対応でき、社会保険労務士から司法書士へと、手続に応じて別の事務所を利用する場合より便利に、また安価な料金での利用を可能にしています。あっせん申立が不調になって裁判手続きに移る場合、裁判手続きの利用を開始する際の料金を減額しています。

ただし、当事務所ではあっせんの選択にあたって、経営者側の姿勢があっせん開始に同意するかどうかをかなり厳しく検討します。基本的にはこの手続きより、労働審判をお薦めすることが多いでしょう。

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