相続登記費用見積もりのために、司法書士に伝えること
目次 かんたん!司法書士の選びかた
見積もりの依頼にあたって伝えること
不動産の所有者と相続人との関係さらに、問い合わせした人との関係
相続登記では特に、「本来の相続人である男性の妻」の方から見積もりの問い合わせを受けることがあります。平日昼間、ご主人に代わって電話をかけてこられるわけです。
ここで気をつけてほしいのは、続柄の基準が誰かわからなくなることです。女性の声で「先日、義理の父が亡くなりまして長男が不動産を継ぐことになったんです」と言われた場合、「長男」は義理の父からみた長男=問い合わせをかけた女性の旦那さんなのか、その旦那さんも死亡していて女性の長男が代襲相続人になるかは質問を追加しないと聞き取れません。
こうした混乱はほぼ日常的に発生しています。できれば「亡くなられた方」か「問い合わせをかけてきた本人」の一方を基準にして登場人物の続柄を説明していただけると助かります。
そのうえで、不動産の登記上の所有者とその不動産を相続したい人がどういう関係になるのかを聞かせていただければ、被相続人の他の子・兄弟の有無など法定相続人の範囲を推定する質問が司法書士側から出てくると思います。
不動産とその価格主に課税明細書から
これは相続登記にかぎらず、実費である登録免許税の計算をするために必要です。
お手元にある可能性が高いのは、その不動産の固定資産税の納付書です。
その中の課税明細書に不動産の所在と価格が記載されていますのでファクスなどでお送りいただくのがベストです。価格を読み上げてもらうこともあります。
相続登記の準備として実施したほうがいい作業として、その市町村における被相続人が所有する不動産の一覧として『名寄帳』を市区町村役場で取得したり、権利証を整理していただくこともあります。これは、遺産分割協議や相続登記で不動産の記載漏れを防ぐためです。
被相続人の戸籍類取得の有無預金解約等で集めてあれば
これは亡くなられた方に関する戸籍・住民票関係の書類がどれだけ取得できているかの問いです。
預貯金の解約や生命保険の請求を始めた方には、すでに相当数の書類が集まっているはずです。こうした書類の多くは相続登記にも使うことができます。
費用節約に関心がある事務所ならこれらの書類は活用しようとするし、そうでない場合も相続人調査の起点として、被相続人の死亡時点での本籍・住所の記載がある書類があるかどうかには関心を持ちます。
逆に、もしここを聞いてくれない場合は当然に戸籍関係書類の収集を代行する(そして、費用をとる)つもりでいる可能性がありますのでこちらから確認しておくことをおすすめします。
被相続人の死亡から5年以上経っている場合、その方の住民票の除票が取得できません。つまり公的な書類で被相続人死亡時の住所を明らかにしにくい状況にあります。この場合の対応として相続登記に添付することが検討される書類のなかに、『被相続人名義の不動産の権利書(登記済証)』があります。
被相続人の死亡から5年以上経っている相続登記の見積もりでは、権利書の有無も確認しておくとよいでしょう。登記費用に影響します。
遺産分割協議書や遺言があるか
特に遺言書がある場合は、必ず伝えてください。基本的にはその記載にしたがって登記申請をすることになるし、遺言執行者が別に定められている場合は登記費用について問い合わせをかけること自体がムダ、つまり遺言執行者が全手続きを仕切ることになっていて選択の余地がないかもしれません。たとえば司法書士が遺言執行者に定められていたら、他事務所に相続登記の依頼をする相続人の出現は考えていないはずです。ただ、遺言にしたがって不動産を相続する相続人は相続登記を依頼する司法書士を自分で選べます。士業の方が遺言執行者になっている場合、まずその方に連絡しましょう。
遺産分割協議書を自分で作った・過去に誰かが作ったという問い合わせも増えてきました。ですが、この中には相続登記に利用できるものとそうでないものがあります。預貯金の解約には使えたが不動産の記載が適切でないため相続登記には使えないということもありますので、自作の遺産分割協議書が相続登記に使えるかどうかは内容を拝見してみないとなんとも言えません。
書類の取得を代行してもらうかどうか
戸籍謄本など相続登記に必要な書類の収集は、忙しければ司法書士に丸投げしてしまうことも当然できます。遺産分割協議書の作成を要する場合は相続人全員の印鑑証明書が必要で、これは本人が役所に取りに行くはずですが印鑑証明書以外の各書類はいずれも司法書士が取得を代行することができます。
量的にも費用の面でも最も大きいのは被相続人の出生から死亡・相続人の現在までの戸籍の記録の収集です。
死亡したのが60〜70代の男性で配偶者あり、法定相続人は妻子合わせて3名くらいで全員離婚歴無し、というごく一般的な相続では、戸籍謄本類は全員分で数通〜10通程度を取得しています。離婚歴や転籍がある方がいるとさらに通数が増えます。
ただし、この部分は「実際に取得してみないと費用はなんともいえません」といった回答も一般的ですので、この部分の費用もシビアに比べたいなら「戸籍謄本類を一通取ってもらうのにいくらかかるか」と聞いてみるしかありません。