相続・遺言関係する登記の手続き

ページトップへ戻る

実施する登記相続登記と関連手続き

相続登記では登記上の所有者は既に死亡しているため、被相続人(亡くなられた方)の状況に応じて実施すべき登記が変わる、ということはありません。
それでも、登記費用の見積もりにあたっては相続登記を要する不動産について現在の登記情報をチェックする必要があります。

これは、不動産の登記情報から読み取れる所有者の住所と死亡時の住所が異なっている場合に、両者を結びつける公的な証明が入手できるかどうか検討を要するためです。

登記上の住所と死亡時の住所時として、つながりが読み取れません

ある不動産の購入時の住所がA市にあり、被相続人はその後B市→C市と転居したあとで死亡した場合を考えてみましょう。物件取得後に不動産の登記をする必要がないまま生活していれば、登記上の所有者の住所として読み取れるのはA市の住所になります。
被相続人の死亡後に取得できる住民票の除票からは、死亡時の住所がC市であること・従前の住所がB市にあることしか読み取れません。

つまり、不動産登記上の所有者として読み取れる『A市に住所をもつ人』と今回死亡した『C市に住所をもつ人』が同一人物であるかどうかは登記情報と住民票からは読み取れません。こうした不整合はよく発生します。

これを補うために戸籍の附票や改製原附票、不在籍不在住証明書を取得したり相続人全員が上申書を差し入れるなどさまざまな手法はあるのですが、それらのうち何が一番簡単か(つまり、費用がかからないか)を決めるには、やはり相続登記を要する不動産の現在の登記情報を確認してみないと始まらないのです。

不動産の共有者が相続する場合所有権登記名義人住所変更登記が必要かも

このほか、亡くなられた方と不動産を共有していた相続人が、亡くなられた方の共有持分を引き取って相続する場合には生きている相続人の現住所と登記上の住所の記載に相違がないかチェックしておく必要があります。
亡くなられたAさんが父親で不動産の持分3分の2を持っており、存命のBさんが母親で持分3分の1をすでに持っているとします。二人で相続登記を要する不動産を取得した際の住所はD市、AB夫婦はE市に転居後、Aさんが死亡し、BさんがAさんの持分を相続することになる、こうしたことはよくあります。

この場合、不動産の登記情報ではBさんがすでに持っている持分の共有者としての住所はD市とされています。Aさんの持分を相続するためには、Bさんの現住所であるE市の住所の住民票を添付してA持分全部移転の登記(相続登記)をすることになります。
この相続登記をするまえにBさんの共有持分について、共有者として登記されているのBさんの住所をE市の住所に書き換える登記(所有権登記名義人住所変更登記)が必要なのです。

Aさんの死亡による相続登記の前提として、生きている共有者Bさんの住所を調べ、必要なら登記上の住所を書き換える、という話になっていることに注意してください。これは不動産登記の制度上やむを得ないのですが、単に相続登記の申請書を探して本人申請すればよい、という話にならない理由の一つになっています。
これらのことから、相続が発生した場合に実施する登記としては次のものが挙げられます。

相続登記のまえに実施するものとして

被相続人ではない共有者がいる場合、所有権登記名義人住所(または氏名)変更登記

相続登記として

所有権移転登記
被相続人が不動産を一人で所有していた場合に行う、不動産の名義を亡くなられた方から相続人に変える登記です。

持分全部移転登記
こちらは、被相続人が不動産を誰かと共有していた場合に行う、被相続人の持分の名義を亡くなられた方から相続人に変える登記です。

抵当権などの抹消の登記特に急ぎません

登記申請としてはこれらのいずれかを行うほか、相続登記を要する不動産に住宅ローンが残っており、死亡に伴って団体信用生命保険で返済された場合には相続人が抵当権の抹消登記を申請することになります。

このほか、過去に設定した抵当権や賃借権、仮登記など、当時の持ち主の権利を制限する登記が見かけだけ残っている場合もあります。この場合は必要に応じて、相続人がこれらの抹消登記を申請することになりますが、相続登記の際に同時に行わなければならないものではありません。登記の抹消に必要な書類が残っていたり入手が簡単な状況ならば、本人で登記申請して登記費用を節約する可能性を探ります。

ページトップへ戻る