4.気になる明細書・怪しい契約書(相談準備)
一般的には時間外労働割増賃金の請求には勤怠時刻の記録が必要と考えられている。
しかし給与明細書のみを書証にして実現可能な請求もある。
こうしたものも含め、別件で相談に訪れ、当初は残業代の存在に気づかなかった相談者に未払い残業代が発見されることはよくある。
これらのことについて、労働相談で比較的手に入れやすい契約書(雇入れ条件通知書)と併せて説明する。
労働者側であれ使用者側であれ、事案の内容にかかわらず相談前に書類を送付させて下記のことを検討しておくとよい。
残業代請求への波及可能性を判定するのと、労務管理がしっかりした使用者か否かの推測に役立つため。
日報やタイムカードの提供を事前にうけられる場合は、2~3ヶ月分を事前に送付させて残業時間と金額の正否を検討しておくと、相談時に慌てることがない。
参考文献
給与明細で騙されるな 北村省吾 朝日新聞出版(2011)
4.1.なぜ勤怠時刻がわからなくても残業代が請求できるのか?
日々の労働時間を確定しなくても、一賃金計算期間(通常は一ヶ月)に『少なくとも●時間の法定時間外労働が発生していた』と明らかにすることはできるため。
・極端に考えてみると
11月の暦日数は30日、1日は24時間である以上、この期間に720時間を超えて労働できる人は絶対いない。
仮にこの期間の所定労働時間として720時間、という記載がある給与明細書を持っていたら?
・もう少し実情に沿うと
同月において、労働時間『200時間』とする給与明細書を持っていたらどうか? この労働時間を、一月のうちにどう配分すれば
『理論上、時間外等割増賃金の請求額が最少になる』と言えるのか?
4.2.労働時間・休日規制を逆読みすると
11月なら、暦日30日・1日は24時間という条件は公知なので、それを前提として給与明細書の記載労働時間200時間について、労基法上の割増賃金が課されない条件での労働時間はどれだけ存在しうるかを考えればよい。
労基法による労働時間規制の例外が適用されていないと仮定すると
①.労働時間(労基法32条)
1日8時間、1週間40時間を『超えなければ』時間外労働割増賃金の支払不要
②.休日(労基法35条)
1週間に1回の休日が『存在すれば』休日労働割増賃金の支払不要
③.深夜(労基法37条)
22時から5時までの間に『就労しなければ』深夜労働割増賃金の支払不要
あとは、カレンダーをみながら上記の1~3の要件をなるべく満たすように労働時間を仮想的に配分してみる。
11月1~2日の週で 2日間で 16時間(ただし各日8時間以下であること)
11月3~9日の週で 最大6日間のうちで 40時間
11月10~16日の週で 同上
11月17~23日の週で 同上
11月24~30日の週で 同上
合計で、労働時間176時間までは割増賃金の支払を義務づけられることなく存在できることがわかる。
見方を変えればこの月に200時間働いた場合、残りの24時間はカレンダー上のどこに置いても(どこに存在していても)時間外労働または休日労働、場合によっては深夜労働にも該当してしまうことになる。
これは仮想的に労働時間の分布を想定した主張に過ぎないが、これより不利になる事実の存在が想定できない。
つまり、説例の給与明細書だけで『当月に時間外または休日労働時間が少なくとも24時間あったこと』は立証可能。休日労働に対する賃金の割増率は1.35、時間外労働に対しては1.25なので、少額な方(時間外労働割増賃金)の請求にとどめれば、請求額としては真実に基づくものより常に過少になって、絶対に誤っていないということになる。
こうした手法でも、落ち着いて論証すれば時間外労働割増賃金請求訴訟は維持できる。
4.3.もし労働日数も併記されていたら
給与明細書に労働日数と労働時間が併記されていれば、さらによい。
所載の労働日数のなかで、労働時間の分配を仮想的におこなえばよいため。
労働時間200時間、労働日数20日との記載ある給与明細書があれば?
労働日数20日で1日8時間を超えない時間数の合計は160時間。残り40時間は当然に時間外労働に該当する。
4.4.その他明細書の記載事項
給与明細書に記載すべき事項は、厳密には法定されていない。源泉所得税・社会保険料の控除額等個々の項目について、該当する法律で明示義務があるのみ。
ただし各使用者の労務管理の実情は推測できる。記載があいまいなほど管理が雑。 給与明細書の交付義務は一応ある(所得税法231条)が、強制力皆無。 明細を出さない事業者などいくらでも存在する。
4.4.1.基本給以外の諸手当
名目だけの諸手当を設けて、その部分を割増賃金等の計算に算入しないことがある。
依頼人からよく事情を聴取し、手当本来の趣旨で支給されていないものは通常の労働時間の賃金に算入すること。
手当支給額の実情のほか、労働契約書・就業規則・賃金規程等を文理解釈して検討することも要する。
特に定額の残業手当については、労働契約書・就業規則・賃金規程等でその旨明示があり、そうした規則類の周知がなされている場合に時間外労働割増賃金に充当されるが、この場合でも過不足を計算し、不足額があれば当然に請求可。
4.4.2.雇用保険料
雇用保険への加入資格と併せて検討する。相談の結果その労働者に被保険者資格があると判定されるにも関わらず控除がない場合には、会社側が加入手続きを怠っている危険性大。
控除があっても加入の手続きがなされていない、ということもある。会社側担当者の説明態度が疑わしい場合、もともと経営状態がよくない(使用者が雇用保険料を横領したくなってしまう)ような会社に入っていた場合には随時、雇用保険被保険者資格の確認照会を行うこと。
4.4.3.健康保険・厚生年金保険料
零細企業・労働者派遣または偽装請負・見習い期間中等の理由で被保険者資格取得の届出をしない場合には、当然に控除もされない。発見した場合、相手はまともな会社ではない、と考えて以後の対処方針を立てるべき。
控除がある場合でも、支給されている賃金額に対して異常に保険料が低い場合には会社側が標準報酬額を偽って届け出ている可能性がある。標準報酬月額表記載の厚生年金保険料の額と照らしあわせて見ればわかる。
※高齢者の債務整理・成年後見をご担当の方へ
『厚生年金基金』の保険料を控除されている場合は、その労働者はその会社で厚生年金の上積み給付の一つである厚生年金基金に加入している。
厚生年金基金からの退職給付は国からの老齢給付と無関係に加入歴が1ヶ月以上あれば支給されるため、年金受給の状況を見て当該基金(または、支給義務を承継した企業年金連合会)からの給付がない60歳以上の者については、支給漏れ年金の存在を考えてみる。
4.4.4.源泉所得税
①支給額が相当あるにもかかわらず控除されていない場合、人件費を外注費として(労働者ではなく下請け業者として)経理処理していることがある。
②常に10%の税率で控除されている場合、個人事業主として扱われている可能性大。
上記①②いずれかを見てしまった場合には、会社側は労働者性そのものを争ってくることを覚悟すること。
フルタイムで働いているのに雇用保険・社会保険の控除がなく、上記にも該当する場合は間違いなく揉める。
4.4.5.欠勤・遅刻等、欠務による控除
月給制労働者で欠勤等した場合の控除額が過小あるいは過大なことがある。
いわゆる日給月給制=月額で一定の賃金を払うが、欠勤時に一定の金額を控除する場合、控除額が実際に就労しなかった割合より低い場合は可。
例:月給25万円、その月の所定労働日数20日の約定で1日欠勤した場合
規定を設けて5千円を控除することは可。2万円を控除することは不可。
就業規則等で定めがなければ、欠勤等があった時間数を『その賃金計算期間における所定労働時間』で按分した金額で控除するのが妥当ので、計算してみて不足があれば支払を求めること。
(上記の例では、1日の欠勤に12500円を超えて控除すると賃金全額払いの原則に反する)
月の途中で入退職した場合にも、所定労働時間と実際に労務を提供した時間との按分計算の問題が同様に発生する。
この場合の賃金支払額は、労基法施行規則第19条の『通常の労働時間の賃金』とは関係なく、賃金計算期間ごとに変化する。
皆勤手当等、出勤条件によって変化する約定の賃金が欠勤等にともなって不支給・減額になることは、明示された条件にそっており不支給後の賃金総額が最低賃金を下回らなければ問題ない。
4.4.6.名目不明の控除
親睦会・旅行費用・食事代・ペナルティなどなど、名目は様々なお金が差し引かれていることがある。
その内容をよく聞き取って分析し、実際に利用していない・利益を享受していない・義務を負担していないのに控除されている場合には未払いの賃金があるものとして請求を検討すること。
4.4.7.変化しない労働日数・時間数
どの月を見ても常に『25日』、『160時間』、など変化しない労働日数や時間数が記載されている明細を見ることがある。
実際には労働日数等が変化している場合には、ずさんな管理の会社と認識すること。
当然ながら、その日数・時間数の記載によって訴訟活動をするべきではない。
4.4.8.(正確と思われる)労働日数
タイムカード等、勤怠記録が入手できない場合でもこの日数が記載されている場合には、依頼人への出勤状況の聴取を経て正確な記載か否か推定してみる。
実情を反映していると判断できるならば、本章で述べたように残業代の請求に利用する。契約書所定の休業日とカレンダーとを対照して記載の正否を判定するのもよい。
4.4.9.(正確と思われる)労働時間数
単に総労働時間を記載しているもの、所定内と時間外・深夜労働時間に分けてあるもの等が存在する。
時間外労働時間の記載があるのに残業代が支給されていない会社については、いくら残業させてもよい=管理監督者(労基法41条)に該当という主張が出てくる可能性がある。
残業代等が支給されている場合には、その労働時間と支給額から1時間あたりの支給額を割り戻して計算し、給与明細書または契約書記載の賃金体系から労基法施行規則第19条にしたがって正確な通常の労働時間の賃金を算出し、過不足を比較する。
就業規則所定の方法で計算した賃金額にそって支給されている場合でも、労基則19条による計算額のほうが大きい場合は差額を請求できる。
給与明細に労働時間数は記載があるのに単価が過少に支給されている場合には、その時間分の差額を請求できる。この場合もタイムカードがなくても勝てる時間外労働割増賃金等請求訴訟ができあがる。
4.5.労働契約書の記載事項
雇入れに際して、労働条件の書面による表示は義務(労基法15条・労基則5条1項)
ただし義務違反は日常的。
雇い入れ通知書等として条件を明示することもあるので、相談担当者は『契約書』という文言にこだわらないこと。
明示すべきもの(○は書面で明示する義務(労規則5条))
○1 労働契約の期間
○1の2 就業場所・従事する業務内容
○2 始業・終業時刻,時間外労働の有無,休憩時間・休日・休暇に関する事項,就業時転換に関する事項(労働者を2組以上に分けて=交代制で使用する場合)
○3 賃金の決定,計算,支払方法,締め切りおよび支払いの時期,ならびに昇給に関する事項,
○4 退職に関する事項(解雇含む)
4の2 退職手当が支給される労働者の範囲,退職手当の計算,支払方法,支払いの時期
5 臨時に支払われる賃金,賞与,最低賃金額に関する事項
6 労働者に負担させる食費,作業用品その他に関する事項
7 安全・衛生に関する事項
8 職業訓練に関する事項
9 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
10 表彰や制裁に関する事項
11 休職に関する事項
4号の2以下は、定めがなければ不要→制裁など不利な事項の明示がなければ、知らないと言えるかも?
具体的な規定は就業規則によるとの明示は一応可。雇い入れ時に明示なく就業規則に記載ある制裁規定の適用可否を巡って問題になる可能性あり
4.5.1.記載のうちなにが重要か
所定内賃金請求の場合
①賃金額および内訳②日給や月給の種別③賃金計算期間④所定休日および所定労働時間(月給制で欠勤や中途退職した場合の日割り計算に用いる)⑤中途退職者や欠勤者への制裁的規定(必要に応じて無効主張するために検討する)
所定外賃金(残業代)請求の場合
①賃金額および内訳②日給や月給の種別③賃金計算期間④所定休日および所定労働時間⑤所定外労働について割増率を独自に定めている規定の有無⑥労働時間に関する例外規定(変形労働時間制・裁量労働制)の適用の有無⑦管理監督者に該当しそうな条項の有無
契約所定外の労働に対し、独自に高い割増率を定めていないかも併せて検討する
その後、所定内賃金額のうち『通常の労働時間の賃金』(労基法37条1項)に該当するものを抽出し、日給・月給等に振り分けて、振り分けた賃金ごとに労基法施行規則19条1項各号を適用※時給制の基本給と月給制の皆勤手当を持つ場合、基本給部分は労基則19条1項1号、皆勤手当部分は同項4号によって計算し、両者を合算する。
割増賃金が常に発生する職場(計画残業や、所定労働時間が深夜)の場合
賃金に当該割増賃金が含まれているか検討を要する
解雇予告手当請求の場合
①賃金計算期間のうち、賃金の締切日(平均賃金は、算定事由発生日の直前の締切日から3ヶ月遡って計算するため)
未支給の残業代等があり、それを平均賃金計算に用いたい場合には前項と併せて検討する。
解雇(懲戒解雇)無効確認請求の場合
①賃金額および内訳②日給や月給の種別③賃金計算期間④解雇に関する事項(契約所定の解雇事由に該当する解雇か検討する) ①~③は、解雇無効を前提として賃金の支払いを求めるよう請求の趣旨に書くためには必要
制裁規定の無効を主張する場合
①その制裁規定。通常は就業規則に設けるが、警備・派遣・風俗営業など人を拘束する度合いが強い事業場で、制裁規定をことさらに契約書に書いてあることがある。
有給休暇分の賃金を請求する場合
所定内賃金の請求に同じ
ただし、皆勤手当など『出勤しなければ支給されない』賃金の扱いについて考慮を要する
※その手当額が大きい場合には有給取得者への不利益取扱いに該当するため
4.5.2.直ちに無効主張できる特約
まれに、事業主に都合が良すぎる法違反の約定の記載を見ることがある。分析して無効主張してよいが、根拠は労基法・労働契約法・公序良俗違反等事案により様々である。
例
入社後数ヶ月間、社会保険に加入しない(偽装請負業者では一般的)
有休取得の要件が厳しい(就労1年後から取得可能、など。労基法39条)
事業主都合によりいつでも解雇可能とする(労契法16条)
時間外労働を上司の許可必須としたり、可能性として認めない(資料21労基法37条)
試用期間を無期限・あるいは一方的に延長可能とする(労契法8条)
1回遅刻したら1万円罰金、など過酷な制裁規定を持つ(労基法91条)
無断退社時に講習費・機材費の高額な即時一括払いを定める(美容師・職人などで見かける。労基法16条)
無断退社時には賃金を支払わないとする(労基法16条・24条)
事業主に与えた損害の、常に全額の賠償を定める(労働法の体系内には規制はないが、否定する裁判例が存在)
こうした約定を見かけてしまった場合、その使用者の順法精神に期待するのは野暮。
提訴しても当初は派手に抵抗してくることが多いが、労働審判を利用すると第一回期日で裁判所から無効の判断が出ることも多い。
4.5.3.長すぎる所定労働時間の無効
所定労働時間が過長な契約書に出会うことがある。これをどう扱うか?
特に月給制労働者において大問題になる。
例:①1日の所定労働時間 8時間
②所定休日 日曜・祝日および毎月第2・4土曜日
③賃金計算期間 毎月末日締め切り 翌月5日払い
④賃金 月給制をとり、月額20万円
労働時間規定の例外はなく、契約どおりに勤務したと仮定すると
この状態下での使用者の認識
「とにかく契約通りに働かせたのだから20万払えばよい」
労働者の認識
「週40時間とかいう言葉は知ってるが、よくわからないので働いている」
この結果、11月なら23日稼働し、20万円のみの支払を受けることになる。
当事者の認識では法定時間外労働が発生していない(気づいていない)。
しかし労働基準法第32条1項では『週40時間』の規制をとっているため、11月第3・5週の勤務は当事者の認識では所定内だが実際には法定外になる部分を持つ=週48時間働く内容の契約になっている。
※このほかの週は祝日にかかったり、毎月2回ある土曜日の休みがあるため問題は発生しない。
11月1~2日の週で 8時間×2回出勤=8時間
11月3~9日の週で 8時間×4回出勤=32時間(第2土曜日が所定休日)
11月10~16日の週で 8時間×6回出勤=48時間(所定休日が日曜のみ)
11月17~23日の週で 8時間×5回出勤=40時間(11月23日が所定休日)
11月24~30日の週で 8時間×6回出勤=48時間
労働基準法第13条の直律効により、週48時間が所定労働時間になる週の(補正後の所定)労働時間は法定の上限である週40時間に修正される。
このため、週40時間を超えた8時間の労働は『法定時間外労働』と認識し直されることなって、当事者の認識としては所定内労働に見えていた時間について実際には残業代8時間分の請求が可能になる。
設例では11月16・30日の各日8時間の労働時間がこれにあたる。
この労働時間について、
月給制労働者であれば、労働時間1時間分の賃金の8時間分×1.25倍の賃金額
(0.25倍のみとする見解があるが、裁判実務では1.25倍の請求が通る)
日給制・時給制労働者の場合は通常の労働時間の賃金は当然払われているため、
8時間×0.25倍の賃金額が請求可となる。
作業方針
賃金計算期間ごとにカレンダーを用意し、実際に契約所定労働時間を書き込んで、歴週ごとに集計する。
週40時間を超えているところが発見できれば、それは設例とおなじような異常箇所。
慣れれば電話で契約の内容(所定出勤日と1日の労働時間)を聞き取り、週40時間超えを察知して綿密な労働相談を提案できるようになる。
4.5.4.法定より短い所定労働時間の定めに関する問題
1日の所定労働時間が法定の上限(1日8時間・週40時間)より短い労働契約において、契約所定の時間外に働くとどうなるか?
労働基準法の規定より好条件を定めることは差し支えない。年間での所定労働時間の計算にあたっては、契約所定の労働時間によって行う。一部に週40時間を超える歴週が存在する場合には、前項とおなじ方法でその週だけ労働時間を40時間に修正して計算すること。
例:①1日の所定労働時間 7時間
②所定休日 日曜・祝日
③賃金計算期間 毎月末日締め切り 翌月5日払い
④賃金 月給制をとり、月額20万円
この労働契約で11月の所定労働時間を計算すると
11月1~2日の週で 7時間×2回出勤=14時間
11月3~9日の週で 7時間×5回出勤=35時間(11月4日が所定休日)
11月10~16日の週で 7時間×6回出勤=42時間(所定休日が日曜のみ)
11月17~23日の週で 7時間×5回出勤=35時間(11月23日が所定休日)
11月24~30日の週で 7時間×6回出勤=42時間
したがって、11月の『修正後の』労働時間の合計は 14+35+40+35+40=164時間。
同様にカレンダーで当初の所定労働時間を配置し、40時間を超える歴週については40時間を上限として修正しながら各月の修正後の労働時間を計算し、1年分の修正後の所定労働時間を計算する。
この修正後の年間所定労働時間を、月給制の賃金から通常の労働時間の賃金を計算する際に用いる。
『法内超勤』(法内残業)について
上記の労働契約で、1日7時間を超えて8時間まで残業をさせたらどうなるか?
労基法の1日の労働時間規制を下回っているため純粋に契約上の問題
月給制労働者については『当初の契約では労働義務はない時間に、余計に働いたのだから賃金も余計にもらうべきだ』と考えればよい→通常の労働時間の賃金を請求する。
所定労働時間が週40時間より短い週で所定休日出勤し、1日8時間以内の就労をしたらどうなるか?
上記の例で11月23日の祝日(契約所定の休日)に3時間働いた場合
その1日の労働時間は8時間に満たない。
1週間の労働時間は、35+3=38時間となって40時間に満たない。
したがって、通常の労働時間の賃金3時間ぶんを支給する必要がある。
このコンテンツは平成25年10月に、業界団体で実施した研修の教材です。
司法書士の研修のために講師として作成していますので、一般の方に有用でないこともあります。
個別の問題については、有料の相談をお受けしています。