養育費未払い家事調停・強制執行申立書類ほか裁判書類作成
養育費の請求に関する公正証書・家事調停申立書・債権差押命令申立書(強制執行の申立書)について、司法書士が書類を作成します。
養育費の請求に関する手続き
このようなときに
離婚の準備をしている方
家の名義変更(財産分与)と養育費の額を記載した公正証書(離婚協議書)を作ることで話し合いができそうだ
養育費に関する取り決めがない方
離婚後に養育費の請求をする必要があり、家庭裁判所への調停の申立で養育費の額を決めたい
養育費が未払いになり、強制執行の申立を試みたい方
執行約款付きの公正証書や調停調書があり、相手の勤務先や預金口座がわかっているので差し押さえを試みたい
費用・作業期間・行う作業司法書士による養育費請求関係の書類作成
ご依頼から1週間程度の期間が必要です。
東京・大阪へは、1〜2ヶ月ごとに出張してご依頼に対応します。
料金
作成書類 | 費用の上限 |
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離婚給付契約公正証書文案 | 55000円 |
家事調停申立書 養育費に関する申立に限る | 44000円 |
債権差押命令申立書 第三債務者1名に限る | 44000円 |
預金や給料に対する強制執行の申し立て(債権差押命令申立)の書類作成費用は44000円とします
作業期間標準的なもの
依頼人の住所地(面談場所) | 作業期間の目安 |
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名古屋市内 | 1週間 |
その他愛知県内 | 1ヶ月 |
静岡・神奈川県・東京都内 東海道本線沿線の市に限る |
ご依頼対応の出張から2週間 |
岐阜・三重県〜京都府・大阪府内 東海道・関西本線沿線の市に限る |
ご依頼対応の出張から2週間 |
行う作業実費を除く
- 出張・訪問相談による打ち合わせ1回(相談料および日当1回分)
- お持ちの資料(強制執行の場合、債務名義)の精査
- 申立書類に添付する戸籍謄本・登記事項証明書・送達証明書等の取得代行
- 家事調停・債権差押命令申立等の書類・公正証書文案の作成
- 作成した申立書類と添付書類の納品(郵送による)
作成した申立書類は、郵送で提出できます。
公証人の報酬・家事調停申立手数料など、実費は別に要します。
作成できる裁判書類司法書士として作成するもの
養育費に関する取り決めがないか、養育費の額を変更したい場合
- 家事調停申立書のうち、養育費を定める調停の申立書
養育費を定めた調停調書・審判書・執行約款付き公正証書がある場合
未払い養育費の請求のため行う、裁判所への申し立てとして
- 債権差押命令申立書
- 財産開示手続申立書
養育費を決めた念書や契約書はあるが、ただちに強制執行できない場合
養育費の支払義務と未払い金額が明らかな場合には、未払いの養育費についても通常訴訟・少額訴訟を経て債権差押命令によって回収することは可能です。
家事調停の申し立てをして、養育費の額と支払方法を決めなおすこともあります。
当事務所では、いずれの手続きについても裁判書類を作成します。
家庭裁判所への調停・審判申立の内容として、離婚・慰謝料・婚姻費用の請求など養育費の請求以外のことがらを含む場合には、別に費用を見積もります。
養育費の請求をお考えの方へ
養育費とは親の都合だけでは決められません
養育費は子供のためのお金であって、親が自分の都合で支払いの有無を決められるお金ではありません。
養育費請求の相談の際に、この点で誤った認識を持っている方がいます。
養育費を請求しない合意はできません合意しても効力はありません
法律的な意味での養育費とは、親が子の生活を保護し教育を与えるために必要な費用です。子供の年齢が低ければ、自分のためのお金である養育費を受け取る・受け取らないの判断や相談はできません。そうした子供本人の頭越しに親同士が「養育費を支払わない・請求しない」と決めることはできず、その合意は無効に(合意しても、法律上は合意しなかったことに)できます。
弁護士による法律相談・法律扶助
養育費の未払いや請求について自由に法律相談ができるのは、原則として弁護士です。当事務所では司法書士として、適切な養育費の金額や養育費請求のため推奨される裁判手続などの法的判断を示すことができません。
基本的には、家事調停の申し立てをする・相手の勤め先に対する給料の差し押さえの申し立てをする、などの方針を自分で決めた方からご依頼をお受けしています。
月収や資産が所定の基準を超えない方には、弁護士による法律相談が無料で利用できる民事法律扶助制度を紹介しています。弁護士による相談で方針が決まったら、司法書士はその方針に沿って各種裁判書類を作成することができます。
養育費はいつ、どのように決めるのか
できるだけ離婚のときに
養育費はできるだけ離婚の直前直後に、書面を作って決めておくのがベストです。
離婚を考え出したら、早期に専門家や支援団体に相談することも重要です。
何らか理由があって相手が離婚を急いでいる(すぐ再婚する予定がある場合など)とか、相手の責任が大きく、相手の家族も心情的にこちらの味方についてくれることもあり、養育費についても有利な内容で合意できる可能性が一般的に高いのが離婚直前だからです。
「養育費を請求しない」という約束従う必要ありません
最悪なのは離婚にあたって『養育費は一切請求しない』などの約束をしたり、念書を書かされることです。
こうした合意は、親が子の権利を奪うものであって法的には効力がありません。
この場合でも、家庭裁判所への調停申し立てを経て審判により、養育費の額を定めることができます。この場合には、家事調停の申し立てにさきだって念入りな相談が必要です。
養育費請求の調停申立はいつでもできます
養育費について取り決めがないまま離婚しても、子供が自立するまではいつでも相手に請求したり、将来にむかって支払条件をきめることはできます。
子供はいるが子供の父親と結婚してはいなかった場合は、父親と子供の関係は認知によって戸籍に記録されますので、以後は家庭裁判所への調停申し立てによって養育費を請求していくことができます。
執行約款付き公正証書とは
話し合いで養育費の支払額や支払期間について決めることができたならば、その内容を『公正証書』にしておくことができます。
公正証書(離婚給付契約公正証書)は、公証役場で作成してもらえる契約書です。取り決めにしたがった養育費などのお金が不払いになった場合に、調停や審判・裁判を経なくてもすぐに強制執行の手続きを始めることができるのが特徴です。
養育費の請求など離婚給付契約公正証書に関する説明
養育費に関する家庭裁判所の調停とは調停申立書類作成
養育費の支払に関する合意がなく、相手が話し合いには応じない場合や合意できない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて養育費を定める方法が使えます。
家事調停の申し立てでは、基本的には家庭裁判所の調停委員(裁判所が委嘱した民間人。男性一名・女性一名)の関与による『話し合い』によって合意することをめざしますが、調停でも合意ができなかった場合には審判という方法で養育費が定められます。審判では双方の所得に関する情報を裁判所が収集して養育費の額が定められ、調停なしでただちに審判を申し立てることはできないことになっています。
まれに養育費の請求を免れるために所得に関する証拠をでっちあげたり、うその陳述をする相手もいますが、ある程度しっかりした会社に勤めている人が相手の場合には養育費について、家庭裁判所への調停を申し立てることは効果的です。
家事調停の申立費用・進み方について
養育費請求の家事調停の申し立てに必要な実費は、裁判所にもよりますが収入印紙代と郵便切手代で2000円程度です。これに戸籍謄本類などの添付書類の収集費用を加えても5000円を超えないことが多いといえます。
また、家庭裁判所では調停を申し立てた人と相手(離婚した男女)が直接顔を合わせない配慮もされていますので、平日昼間に勤め先を休める方なら調停の申立てを考えてもよいのではないでしょうか。
家事調停の申し立てには、必ずしも弁護士を代理人につける必要はありません。司法書士が申立書類を作ったり、必要書類を集めることもできます。
強制執行のための書類(債務名義)について
未払いの養育費を差し押さえによって取り立てるためには執行約款付き公正証書をもっているか、家庭裁判所の調停や審判を経て定められた結果(調停調書や審判書)をもっている必要があります。調停調書など、強制執行の手続きを始めるために必要な文書をまとめて債務名義といいます。
養育費請求をめぐる家事調停・審判の役割は、当事者の意向も考慮して適切な支払金額を定めるほか、約束が破られたときに強制執行可能な状態を作っておく=債務名義を得ることにある、と考えればよいでしょう。
養育費の変更(増額あるいは減額)請求
養育費の支払いは、ときに十数年にわたって続きます。支払ってくれる相手の収入が転職や倒産で減ったりして、以前に決めた養育費が支払えなくなることもあるでしょう。転職して収入が多くなり、養育費の支払余力が増えることもあるかもしれません。子供を養育する親にも同様のことがありえます。子供が病気になって出費が増大することもあるでしょう。
そんなときに養育費の増額や減額の相談が相手とできなければ、養育費額の増額・減額変更の請求についても、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停が不成立になれば審判で定められることになります。
このことは、養育費の請求に関していったん有利な条件を呑ませても後になってその条件をひっくり返される可能性も意味します。養育費の額を決めるにあたって不自然に高い・安い金額を押しつけようとする相談者もいますが、あまり不誠実に振る舞わないほうがよいといえます。
裁判所における、養育費の算定の目安
養育費には相場のようなものはあるのでしょうか?よく相談で聞かれます。
家庭裁判所では、養育費を支払う親・子供を養育する親の収入に照らして一定の範囲で養育費を決める算定表を用いることが一般的です。東京家庭裁判所のホームページから養育費算定表のPDFファイルがダウンロードできます。
この表はあくまで目安ですが、養育費を定める家庭裁判所の審判にあたってはおおむねこれに沿った結果が出てくるものと考えてよいでしょう。調停の期日に調停委員と話し合うときにも、この表が使われることがあります。
もちろんこれより有利な結果で話し合いをまとめることもできますが、支払う相手の収入が減って養育費の支払いが難しくなったら、相手から養育費減額変更の家事調停申し立てがなされ、この表にそったかたちで減額変更の請求が通ることがあります。
養育費が未払いになったとき履行の請求から強制執行まで
養育費に関する取り決めが、どのような文書になっているかで違います。ただちに強制執行の申し立てができる場合と、そうでない場合があります。
口約束だけがあるとき
録音などがある場合を除き、すぐにはどうにもなりません。
まず家庭裁判所の調停を申し立てて、養育費の額を定める必要があります。
公正証書ではないが、念書や契約書があるとき
契約書の内容によっては、これまで支払われてこなかった養育費について訴訟や支払督促申立といった手続きで請求できる場合があります。
しかし、長期的には家庭裁判所の調停申し立てを経て今後の養育費の額を定めるのがよいでしょう。
執行約款付き公正証書・調停調書や審判書があるとき
それらの書類に書いてあるお金が未払いになった場合には、ただちに強制執行が可能です。
調停や審判にしたがった支払がない場合には、家庭裁判所から連絡をとって養育費の支払をうながす『履行勧告』という制度もありますが、費用がかからないかわりに強制力もありません。穏便に支払をもとめたい場合には利用できます。
差し押さえできる財産がない場合や、勤め先から払われる給料しか期待できない場合には強制執行の申し立ては慎重に行う必要があります。申し立てをきっかけに他の財産を隠されたり、勤務先を辞めたり辞めさせられることもあるからです。
強制執行(差し押さえ)とは
差し押さえとは、あらかじめ決めた義務が履行されない(支払額が決まった養育費を相手が払わない)ときに相手の意思に反して財産の一部をとりあげたり売り払ったりして、お金をこちらのものにしてしまう制度で、強制執行の一種です。不動産・動産・債権について、差し押さえの申し立てができます。
相手の意思にかかわらず相手の財産をとりあげるところに特徴がありますので、これを行うには前もって執行約款付き公正証書や裁判所での家事調停・審判・訴訟といった厳格な手続きを経て、養育費の支払いに関する書類を作っておく必要があるわけです。
債権差押命令申立は郵送で可能です
差押命令の申し立ては、相手(債務者といいます)が住んでいる場所を管轄する地方裁判所におこないます。債権差押命令申立については書類を適切に作れば、郵送の申立で手続きできることがあります。
未払い養育費の請求に限らず、強制執行をするには相手の財産をこちらが調べて知っている必要があります。財産があるかどうか知らない・わからないという場合は失敗の可能性が非常に高まるのが難点です。
以下では強制執行できる財産や権利を挙げますが、これはいずれも養育費を払っている人の財産として『それがあることを、差し押さえの申立をする人があらかじめ知っており、隠匿される前に強制執行の申立をする』必要があります。
差し押さえるべき財産がわからない場合には財産開示の申し立てができますが、相手が正直に財産の内容を裁判所に開示するかどうかはわかりません。
債権として差し押さえの申し立てができるもの(例)
- 勤め先の給料や退職金のうち、未払いのもの
- 個人事業主の売掛金や報酬で、未払いのもの
- 銀行預金や証券会社の預り金・投資信託受益権や株式に関する権利
- 生命保険・損害保険からの保険金や解約返戻金
- 不動産を人に貸している場合、借り主から取れる賃料
- 電話加入権や賃貸住宅の敷金(あまり効果はありません)
- リゾート会員権・ゴルフクラブの会員権
- 過払金返還請求権
- 他の人に貸したお金(借りた人からの取り立てが必要です)
これらのほか、相手がなんらかもっている権利でお金にかえられるものはだいたい、なんらかの形で債権差押命令申立の対象になります。一部の簡易保険の保険金あるいは公的年金・生活保護や雇用保険などの社会保障給付は法律により差押えは禁じられています。お金が振り込まれて預貯金口座に入った場合、そのお金が混ざっている銀行口座を差し押さえることはできます。結果として年金等を差し押さえたことになってしまうという理由から、相手が争ってきた裁判例があるため注意を要します。
債権差押命令の申し立ては、必要書類さえきちんと作れば裁判所に出頭せずに郵送で手続きを進めることができ、平日昼間に動けない人でも比較的取り組みやすいといえます。申し立ての際の実費も、銀行口座一つ差し押さえるだけなら一万円弱しかかかりません。この点では養育費の取り立てに向いています。
確実に押さえられる財産がなんなのかを判定するためには、専門家との綿密な相談をおすすめします。
差押えに失敗する預金口座をわざと差し押さえて、自発的に相手に支払わせるということもあります。逆に、相談段階でこうした選択肢を複数考えてくれない専門家への相談は、あまりおすすめできません。
不動産として差し押さえの申立ができるもの
- 相手の名義になっている土地や建物
- 名義は替わっていないが、相手の親などから相手が相続した土地や建物の持分
不動産を差し押さえてお金にし、未払いの養育費を取り立てるという手続きも一応考えられますが、あまり現実的ではありません。
理由として、強制執行の手続終了までに年単位の時間がかかることと、申立てに際して数十万円以上の予納金をいったん裁判所に納める必要があるためです。
養育費を支払わない相手が、相手の親(子供の祖父)の不動産を相続することはよくあるので、不動産の差押命令申立を強行することで相手がなんらか衝撃をうけ、以後は自発的にお金を払ってくれることを期待するとか、不動産が誰かに売られることをとにかく防ぐという使い方はあるかもしれません。
不動産の登記は誰でも調べることができ、持ち主が誰か(誰の財産なのか)を調べることがかんたんなので、不動産は財産としては発見しやすい一方、強制執行するのは面倒だということができます。
養育費だけでなく慰謝料を含んだお金が未払いの結果、請求できる金額が大きくなっている場合にはあえて不動産を差し押さえることも考えられます。
いずれにしても不動産の強制執行は予納金が出せなければ選べない手続きです。
動産差押命令申立について
制度はあるのですが、養育費の請求で活用を考えるのは非現実的です。
理由としては相手の生活に必要な動産の差押えはできないこと、誰の持ち物なのかを特定することが難しいこと、差し押さえを行う執行官が現場に赴かねばならず、行っても成果があるとは限らないことなどがあげられます。
相手が個人事業主として簡単に売却でき価値が高いものをたくさん仕入れている・転売価値のあるコレクションを収集しているなど、特殊な状況でなければ考えないでよいでしょう。