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法改正・補足情報そこが聞きたい 山林の相続・登記相談室

『権利書』を探したい方へ(本文90ページ)

相続登記の申請は権利書がなくてもできますが、権利書を探す必要がある場合は次のような見た目の書類を探してみてください。

現時点での登記上の持ち主が、平成17年より前にその不動産を取得した場合

登記上の持ち主は死亡した父親で、その父親は昭和40年にその山林を買った、という場合です。

戦後〜平成17年頃までに司法書士が関与して作った権利書は、司法書士事務所名が示された表紙や封筒に入れられていることが多いです。その封筒・表紙には、『権利書』『登記済権利証』『登記済証書』『登記済証』などの表題がついていますが一定しません。

法律上は登記済証と呼ばれるこの書類ですが、なぜか権利書という通称のほうが広まってしまいました。そこで司法書士用品を作る業者が適当な名前で封筒や表紙を作り、司法書士がそうした用品を使って成果品を依頼人に渡したのでこうなった、という実情があります。
このため、残念ながら『このような書類を探してほしい』という具体的助言ができません。個々の表紙や封筒には、次のようなものがあります。

googleの画像検索結果へ

上記の画像検索に出てくる結果からそれと似た物体が発見できれば有力な候補ではあります。
ただし、封筒は出てきたが中身は全然違う、ということも多々あります。

さらに厳密には、以下の手順で探索します。

  1. 現在の不動産の登記情報を、オンラインまたは登記事項証明書により確認する。
  2. 現在の登記上の持ち主がその不動産を取得(売買や相続など)した登記申請がなされた時期@と、実際の契約等がなされた時期Aをそれぞれ確認する。
  3. @の時期に申請された『登記申請書』か、Aの時期に作られた『売渡証書』『贈与証書』または『売買契約書』『抵当権設定契約書』などの契約書を探す
  4. 前記@Aのいずれかの書類が見つかった場合、その書類に法務局の印判が押してあるか確認する。
  5. 法務局の印判は赤い縦長のもので、上記2.で確認した登記申請の日と受付番号も記載されているので上記@と対照して一致するかどうか確認する

平成17年に改正される前の登記制度では、権利書すなわち登記済証は『登記申請書の写し(副本)』または『登記をする必要が生じた契約の内容を書いた証書や契約書』のどちらかの書類に法務局がハンコを押して作っていました。上記のどちらの書類を材料にして権利書ができあがったかは、権利書を実際に見るまでわかりません。このため、上記のような方法で探索していくしかありません。

所有していた土地が区画整理や土地改良にかかった場合、自作農創設特別措置法で売り渡された田畑の場合など、上記の説明が当てはまらないこともあります。

平成17年以降にその不動産を取得した場合

不動産登記法がこの年に改正されて以降、登記申請後に法務局から発行される重要書類の題名と様式は統一されました。『登記識別情報通知』がこれにあたります。

ただ、司法書士向けの用品作成業者が適当な題名の封筒や表紙を供給し司法書士がそれらを用いる実情は続いています。個々の表紙や封筒の題名は『不動産登記権利情報』『登記識別情報通知』『登記識別情報』などとなっています。題名は無視して中身を確認してください。

登記識別情報通知は、登記済証と違って1回の登記申請が終わった際に『不動産ごとに』『不動産を取得した人1人ごとに1枚ずつ』発行されます。
このため、相続人が1名で土地1筆建物1個を取得した場合は登記識別情報通知は2枚、買い主が3名共有で山林2筆を購入した場合は登記識別情報通知は3名×2筆=6枚出てくることになります。
紙の登記済証が発行された場合はいずれも1通で済んでいたので、登記が終わったあとに発行される書類の通数には大きな変更が生じたことになります。特に共有で取得した不動産を売却や贈与したい場合、必要な登記識別情報通知は各共有者のぶんが全部必要になってきます。

このため、登記申請に必要な登記識別情報通知がどれかを確認するには次のことをする必要があります。

  1. 現在の不動産の登記情報を、オンラインまたは登記事項証明書により確認する
  2. 現在の登記上の持ち主がその不動産を取得(売買や相続など)した登記申請について、受付年月日と受付番号を確認する
  3. 前項で確認した受付年月日・受付番号が記載された登記識別情報通知を探す。共有者がいる場合は全員分、複数回に分けて持分を取得した場合は各回の登記申請に対応する分の登記識別情報を探し出す

以上のことをする必要があるため、不動産を譲渡する・譲り受ける登記申請の前には事前に現在の登記情報を確認しなければ準備を進められないことになります。
この作業が必要な点は紙の権利書がある場合も登記識別情報通知が発行されている場合も変わりません。

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Last Updated : 2021-01-01  Copyright © 2020 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.