被保険者資格・離職理由に関する審査請求雇用保険・社会保険で争いがあるときに
雇用保険・社会保険の手続を事業主が適切にしないのはよくあることです。
被保険者資格の取得・喪失と雇用保険の離職理由を中心に、社会保険労務士として審査請求書類の作成を代行します。
このようなときに審査請求できる期間に注意が必要です
雇用保険について
- 解雇されたはずなのに、離職理由が自己都合とされている。
- 会社に不満があって退職したら、懲戒解雇で離職したことになっていた。
- 自己都合で辞めたが、残業過多・賃金減少・私傷病(労災隠し)等の理由がある。
- 離職理由に異議があると記載したが認められなかった。
健康保険・厚生年金保険について
- 試用期間を理由に、被保険者資格取得の手続きが遅れた。
- 退職の日より早く、被保険者資格を喪失させられた。
- 実際の賃金より安い(高い)保険料になっている。
関連する手続き
雇用保険・社会保険被保険者資格に関する審査請求のほか、次の業務・関係する相談にも応じています。
- 労災保険・社会保険の給付関係の処分に対する審査・再審査請求
- 雇用保険被保険者資格取得・喪失に関する確認請求
- 審査請求の準備で行う個人情報開示・情報公開請求
- 関連する裁判書類の作成(法律相談を除く)
審査請求とは不利益処分の変更を求める行政手続き
審査請求とは、一般に行政上の処分に不服がある場合に行う申立の一種です。
審査請求の結果に不服がある場合は再審査請求を試みたり、取消訴訟を起こす(訴訟で、処分の当否を争う)ことができることになっています。
審査請求・再審査請求のうち労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金に関するものは社会保険労務士が書類作成・相談に応じることができます。
審査請求できる期間には、処分(役所の判断)を知った日の翌日から3ヶ月以内の制限があります。
雇用保険法に基づく審査請求
次の処分に不服がある場合、雇用保険審査官(労働局に配置され、職安の担当者とは別の人)に対して、雇用保険法に基づく審査請求をすることができます。審査請求の結果に不服がある場合は、取消訴訟を起こすほかに再審査請求を試みることができます。
再審査請求は労働保険審査会に対して申立をおこなうことになっていて、もとの不利益処分を出した人(処分庁)とは違う人たち(審査庁)の判断を求めることができるようになっています。
- 被保険者資格取得・喪失に関する確認(いつ雇用保険に入ったか・辞めたか、など)
- 失業等給付に関する処分(離職理由・金額・不正受給返還など)
健康保険法に基づく審査請求
次の処分に不服がある場合、各地方厚生局に配置されている社会保険審査官に対して、審査請求をすることができます。審査請求の結果に不服がある場合は、再審査請求を試みることができます。
再審査請求は、社会保険審査官とは異なる社会保険審査会に対して申立をおこなうことになっていて、もとの不利益処分を出したひと(処分庁)とは違う人たち(審査庁)の判断を求めることができるようになっています。
- 被保険者資格取得・喪失に関する決定(被保険者になった・資格を失った時期など)
- 標準報酬に関する決定(標準報酬額から導かれる保険料額など)
- 保険給付に関する決定(不支給処分や支給額など)
このほか、保険料の賦課・徴収に関しては社会保険審査会に審査請求することができます
審査請求書類作成・相談の費用雇用保険・社会保険に関する社会保険労務士業務
審査請求に関する相談労災・雇用・社会保険に関するもの
相談の料金(2時間 税別) | |
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来所での相談 | 4000円 |
出張相談 | 5000円 |
難易度の高いものについて、1時間6000円とすることがあります。
審査請求書類作成
労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険について同額です。
受託時に特約を定めない場合、作成する書類1点・実施する作業1件ごとに、この基準で報酬を計算します。
費用に上限を設ける場合
上記の費用を超えない範囲で、特約を設けて費用に上限を定めたり、一部の費用を後払いにすることがあります。
依頼の難易度等に応じて、個別に提案します。
関連する業務と費用審査請求代理など
- 代理人となる場合
- 着手金は10万円、成功報酬は認容額の25%を各上限として別に定めます。
出頭する審査庁ごとに、日当と交通費を定めます。
- 書類作成以外の作業
- 行動時間10分につき最大2千円とし、作業ごとに定めます。
- 出張中の移動
- 日当は1日1千円〜緊急時1時間3千円とし、交通費を出張ごとに決定します。
- 緊急作業
- 作業ごとに、下記の特急料金または急行料金を加算します。
特急料金 依頼から3日以内に作業を完了する場合 10万円
急行料金 依頼から7日以内に作業を完了する場合 3万円
雇用保険・健康保険 審査請求に関するお尋ね社会保険労務士への相談から
審査請求全般労災保険・雇用保険・社会保険共通
審査請求の手続きにはお金はかかるのですか?
実費はかかりません。自分でやればタダでできることになります。
これは雇用保険・社会保険とも同じです。審査庁に出頭したり、事前に個人情報開示の請求を試みた場合にはそれらの実費がかかります。
審査請求はいつでもできるのですか?
いいえ。処分(役所の判断や決定)があったことを知った日の翌日から3ヶ月以内という定めがあります。(厚生労働省 労働保険審査制度の説明へ)
過去の被保険者資格の取得については、過去の保険料を納付できる期間(2年)が過ぎた部分は審査請求を試みる実益がない可能性があります。過去のぶんの保険料を納付できず、給付に反映できないためです。
審査請求の手続きを手伝ってくれるのはどんな人ですか?
労災保険・雇用保険・社会保険では、一部の社会保険労務士が対応しています。
障害年金でこの手続きを行う社会保険労務士は多い一方、当事務所では労働紛争に関連する問題として雇用保険・社会保険被保険者資格の取得・喪失を中心に審査請求のご依頼を受けてきました。
社会保険労務士のほか、制度上は弁護士にも審査請求に関する法律相談・依頼ができます。
審査請求について無料で相談できるとしたらどこですか?
障害年金や一部の健康保険給付について、個別の社会保険労務士事務所で無料相談をしているところがあります。これは依頼を誘致する目的を持っています。
事業主が離職票に記載した離職理由を巡って対立があるなど労働紛争に関係している場合は、各県社会保険労務士会が設置している総合労働相談所にも社会保険労務士が配置されていますから、ここで相談するとよいかもしれません。
審査請求をすれば必ず認められるのですか?
普通の人が審査請求のみ行うと、認められないことが多い印象があります。
これは準備や知識の不足によるほか、特に雇用保険の審査請求では事業主側の対応が正直でないため調査がうまく進まない制度上の問題も関係しています。
当事務所では特に被保険者資格の得喪や雇用保険の給付に関して、裁判手続きと併用することで成果を挙げることがあります。
離職理由(解雇の当否や残業時間)や給付の日額(残業代を込みにした賃金額)は裁判手続で明らかにできますので、裁判の結果を審査請求に流用できるためです。
審査請求をしたほうがいいのかわからないのですが、どうしたらいいですか?
期間に余裕があれば、個人情報開示請求を先におこなって、争いたい処分に関してハローワークや年金事務所が集めた記録を取り寄せて検討するとよいでしょう。
個人情報開示請求に応じて書類が開示されるまでには1ヶ月超の期間がかかり、手数料は300円です。郵送でも可能です。
口頭で審査請求ができると聞きましたが本当ですか?
できますが、期限が迫っているのでなければやめておいたほうがいいでしょう。
きっと準備不足な状態で審査請求をしているはずです。
審査請求書の書式はありますか?
ありますが、決められた記載事項を守っていれば所定の書式による必要はありません。むしろ、審査請求書に別紙を設けて審査請求をする理由や根拠の説明を充実させることをおすすめします。
審査請求をしてから判断が出るまでどれくらいかかりますか?
被保険者資格の得喪や離職理由に関する審査請求では審査官は勤務先だった会社からも説明を出させますので、会社側の対応速度にもよりますが2〜3ヶ月以上かかっている印象があります。
逆に、審査請求書を出すだけ出しておいて「先行している労働審判の結果が出るまで待って欲しい」と上申し、会社がした懲戒解雇処分を労働審判で撤回させてからその結果を審査官に提出して審査請求を通してしまったりします。時間もお金も余計にかかりますが期待通りの結果を得やすい面があります。
審査請求しようか迷っているうちに期限が来週になりました。どうしましょう?
最低限の内容で審査請求を出しておき、証拠や主張については追って追加する旨を上申しておくことは一応可能です。
ただし、その後は迅速に精力的に準備を進める必要があります。
審査請求での判断はどのようにしてなされるのですか?
審査請求をするのが労働者側なら、労働者側の書面と勤務先が作った書面で判断されます。
積極的に事実を調べてもらえるわけではありませんので、わりと簡単に対処不能になってしまう印象があります。審査請求の結果に影響する事実をめぐって勤務先からの反論・妨害が予想される場合は裁判手続を併用されることをおすすめします。
審査請求の結果はどのように教えてもらうのですか?
書面で送られてきます。記載内容を分析し、再審査請求に備えることができます。
また、審査請求の過程で会社側が出した書面もコピーしてもらうことができます。
審査請求や再審査請求を棄却されたあとの取消訴訟には対応してくれますか?
当事務所の場合、社会保険労務士であるほか司法書士として裁判書類が作れますので理論上は可能ですが受託実績はありません。一種の賭けと割り切ってご依頼いただく覚悟が必要です。
雇用保険関係審査請求:主に離職理由に関するお尋ね
雇用保険の離職票に書かれていた離職理由に異議を述べなかったのですが、審査請求をしてもいいのですか?
差し支えありません。
ただし、異議を述べなかった理由は説明できるようにしておきたいところです。
離職理由への異議が認められなかった場合、審査請求でなんとかできるのですか?
審査請求を経てそういうご希望に近づけるのですが、正確には違います。
離職理由そのものではなく「職安が離職理由の認定を誤った結果、失業給付などの日数が減ったり給付制限を受けて不利益を受けることになった、雇用保険に関する処分」に対して審査請求をすることになります。
会社がいう離職理由がウソだから審査請求できる、というわけではありません。
言い換えると、会社が出した離職票に事実と違うことが書いてあっても、それで雇用保険の給付額が減るなどの実害がなければ審査請求はできません。
残業が多すぎるために自己都合で退職し、離職理由も自己都合になっています。
特定受給資格者になるためには審査請求すればいいのですか?
制度上はそうなります。
この場合、残業時間が特定受給資格者の要件を満たすほど存在していることを書面で立証できるか検討を要します。場合によっては、残業代請求など勤務先に対する裁判手続きによって労働時間数だけ相手に認めさせてしまうことも必要です。
不当配転やパワハラ、賃金減額等を理由に自己都合退職したものの、正確な退職理由が認められれば特定受給資格者になり得る場合も同じような問題点と対応策があります。
で、実際には審査請求を依頼したらいくらかかりますか?
基本はこのページ記載の書類作成枚数で費用を決めているのですが、雇用保険の給付日数や日額の増加は金銭に換算できるので、その増加額に対する一定割合を定めることもあります。この場合は依頼をお受けするときにお示しします。
審査請求書を社会保険労務士として作成するのではなく、ご自分で作った審査請求書案を相談を繰り返して添削することもできます。
以上の対応で、できるだけ費用倒れしないように努めています。
健康保険関係審査請求:主に被保険者資格に関するお尋ね
昨年12月から会社に入りましたが、健康保険は今年3月から入っています。
これでいいのですか?
制度上は昨年12月から被保険者の資格があるはずで、審査請求によって正しい期間の被保険者資格を得ることはできます。社会保険料は過去の労働者負担分を払う必要があります。逆に同期間の国民健康保険・国民年金保険料等は返還を受けることになります。それを受け入れて審査請求の手続をするか判断してください。
上記の例で、会社は昨年12月〜今年2月分も保険料を取っていました。
私は騙されたのですか?
はい。たまにあります。
刑事上の対応策はほぼムダです。社長がこの程度の金額をごまかしても警察が対応した例を聞きません。
行政上は審査請求を通じて同期間中の被保険者資格を回復することができます。
民事上は、同期間の被保険者資格がなかったことを前提に(つまり、審査請求をしないときめたうえで)だまし取られた社会保険料を会社に返還請求できます。当事務所ではいずれも対応します。
同様に退職時の社会保険料をごまかすパターンもあります。
対応策は上記と同じです。
昨年12月から会社に入りましたが、いままでずっと社会保険に入れてもらえません。審査請求ができるのですか?
いいえ。
被保険者資格取得の届出がなく届出への処分もないので、審査請求はできません。
この場合、『(健康保険や厚生年金の)被保険者資格の確認請求』という別の手続きで対応することになります。会社が被保険者資格喪失の届出をしないときも同じです。
被保険者資格の確認請求は、主に勤務先が被保険者資格取得・喪失の手続きそのものをしない状況で用います。雇用保険にも同じ制度があります。
月給20万円で働いていますが、保険料を見ると月10万円弱の標準報酬月額で届出されているようです。どうしたらいいですか?
会社に言って間違いを直してもらう、というのが非現実的なら、不当に低い標準報酬月額を反映してなされた給付(傷病手当金・出産手当金など)がなされたときに審査請求を試みることができます。
標準報酬月額の決定とそれに基づく保険料徴収に対して審査請求をすることもできますが、保険料も当然に増加し、過去の分まで差額を払うことになります。
一つの会社で月給合計20万円で働いていますが、給料のうち9万円を本来の勤め先、11万円を別のダミー会社からもらっています。標準報酬月額は9万円台になっていますがどうしたらいいですか?
脱法行為がお好きな方がこういう助言をしているようですね。
見かけ上は綺麗な関係書類を作っているはずなので審査請求だけでなんとかするのは難しいと思います。ダミー会社との間に雇用関係が存在しないことを裁判手続きで確認させてから審査請求や再審査請求を試みる必要もありそうです。
上記の相談は実際にあったものなのですか?
はい。期間や金額のみ変えただけです。
なお、前問のダミー会社設立は社会保険労務士や税理士が関与・主導した事例があります。
審査請求書類作成の相談・お問い合わせは
電話:050−7561−5941
受付:12時〜22時(土休日:12時〜18時)
電話での無料相談はありません。
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