作戦構想

戦略目標

前項1.〜3.で掲げた賃金の、迅速な回収。
出来れば4.の解雇予告手当への戦果拡張。

戦術目標

明瞭に論破可能な形での、解雇の有無をめぐる敵からの虚偽の陳述の誘致。
これを和解期日前までに行うこと。


簡単に言えば、まず砂上に「解雇の事実がない」とどこかでウソを言って欲しいのだ。そして「その後」にこっちの解雇の事実の記載がある離職票を出して法廷での力関係を有利に持っていく。

これがうまくできれば、解雇予告手当まで含めて勝てるだろう。もちろん賞与の支払いなんざ請求するこっちも本気でやってないから、解雇予告手当がとれれば大勝利だ。

一回訴訟をやればわかるのだが、相手方は実に安易に虚偽の陳述をし偽造の証拠を出してくれる。そして、ここから先が重要なのだが、

相手は相手、こっちはこっちで言いたいことを言い合い、かつ自分の主張を補強する証拠をだす場合は、一貫してホントのことばっかり言ってる方が圧倒的に「楽」なのだ。良い悪いの問題ではない。

だからこちらは単純に事実をまげずに陳述する一方、敵には適当なところでウソを言ってもらって墓穴に入ってもらいたい、罠をしかけて落っこちてくれればもっといいといわけである。司法書士新人研修なんかでは絶対出てこない考え方であり、合法的ではあるがお行儀が悪いので裁判官には言えないけれど。だから…

とるべき戦術行動

『挑発』の一語に尽きる。少なくとも、砂上がなにか言ってくるまでは。

まず社会保険事務所に行って、砂上開発において社会保険への加入手続が適切になされていない旨苦情を言ってこよう。

社会保険事務所からは(多分昨年職安から指導が行ったように)調査または指導がなされるはず。この時点ですでに、その申し立てを行ったのがぼくであることを明らかにしておいてもらう。どうせこのあと、たたみかけて攻撃して行かねばならないのだから。それにおカネ大事の砂上センセイから、社会保険料追納などという前向きな対応が出てくるとは思えない。

これが実質的宣戦布告になるが、どこでもいいからとにかく役所を関与させておくことで、純粋に民事のあらそいに終わらない可能性を相手に示しておく。もし、刑法だの都市計画法違反だのといった話をする際には、ここで行政機関を絡めておくことが効いてくるかもしれない。

内容証明による催告書は社会保険事務所の反応が得られたあとすぐに出す。

このことでこちらの未払債権請求の全容を示して債権の消滅時効の到来を引き延ばす。と同時に、この内容証明でなるべく相手を動揺させ、できるなら裁判になるまえになんらかの反応を引き出す。そのために、催告書には以下の表現を記載する。

  • 社会保険加入の手続を行わなかったことを犯罪事実として指摘。ただし脅迫という反論を免れるために、告訴の可能性は示さずにおく。
  • 芦葉とは既に訴訟を完了し解決金を払わせていることを通知する。これで、砂上がこの催告書を黙殺した場合、自分も訴訟に巻き込まれることがわかるはず。
  • 砂上夫妻による解雇の事実を強調する。これで、敵が「解雇なんかしていない」と反論してくれればベスト。
  • なお、割増賃金の算出については根拠条文を示すだけにしておいて、いきなり結論だけ記載することにする。

きちんと残業代を計算して反論できるか否かで、もし敵が司法書士なり弁護士を動員した場合も含めて、砂上陣営の労働法への対処能力が見えてくる。一般的に言って、弁護士に漫然と依頼してそいつが労働法の高い知識を持っている、とは期待しなくていい。司法書士についてはさらに難しいだろう。

この内容証明が黙殺されたら、まず解雇予告手当の請求を含めて支払督促をかける。督促異議でこの解雇に関して、なにか余計なことを書いてくれることをさらに期待する。しかし奴も行政書士のはしくれ、自分で内容証明くらい書いてくるだろう。例によって補助者に書かせるかもしれない。丁度いい具合に司法書士の有資格者だの学習者だのがいるならば…

うまい具合に回答がでたら、その内容によって通常訴訟でいくか請求債権の一部を少額訴訟に持ち込むかさらに考える。

逆に絶対さとられてはならないのが、こっちが社会保険労務士の勉強なんかやっている、ということだ。

敵の認識からすればぼくは「せいぜい司法書士の資格を持った丁稚(お得意の表現を用いるなら、『スペア』)」にすぎないはずだ。こっちの戦力=知識と経験を正確に見せてあげる必要はない。

ただ、こっちの放つ催告書には反応はして欲しいというのが難しいところである。だから訴訟をやって解決金をとりましたとは教えるが、その中身については沈黙しているとしよう。どうせムダにプライドの高い芦葉だから、補助者から訴訟を起こされて負けました、とは言わないはず。砂上から問い合わせがあったとしても、芦葉の法的知識ではあの訴訟の内容をうまく説明できないから、こっちの知識のレベルが漏れることもまずない。

もう一つ、これは言うまでもないが、解雇の事実を記載した「離職票」を握っているということ。動かせない証拠を敵が持っている、と気づけば、そこそこ頭のいい人間ならその証拠と整合性のあるウソを作って法廷に持ってくる。それは困る。

しかし砂上事務所では労働保険事務は税理士に丸投げだ。離職票なんてものは、見たこともないはず。

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このコンテンツは、ブラックな零細企業の残業代不払いと本人訴訟の体験談です

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Last Updated :2013-04-08  Copyright © 2013 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.