提案事例訴訟と提訴中の問題
少額事案での費用例訴訟中の問題
お尋ね:私は未払い給料の回収のため、自分で少額訴訟を起こしました。会社側には弁護士が訴訟代理人につき、通常訴訟への移行を申し立ててきました。答弁書は十枚くらい書いてありますがここから依頼を受けてくれますか?
勝てると思って自分で起こした(あるいは、受けてくれる専門家がいなくて自分で起こすことを余儀なくされた)訴訟でも、会社側に限って代理人がつくことはよくあります。そうした不運な方からのお尋ねです。
請求額は、この事例では15万円としますが実際にあった例ではさらに少額です。
提案:よくあることです。普通に準備書面を作ります
準備書面作成枚数は十数枚になりますが、ご依頼の際には提訴の際の請求額の6%として9千円をお支払いください。その後お金の支払いがあったときに、その額の14%を申し受けるという条件で作業に入ります。
説明(平成26年4月までの扱いについて)
当事務所に労働関係の裁判書類作成をご依頼いただく場合、料金は書類作成枚数のほか、請求額に対する最大6%+回収額に対する最大14%の額を上限とする特約を設けるのが一般的です。
この特約を適用した結果、請求額15万円の訴訟で途中から支援を開始したこの事例では、まず9千円をお支払いいただいて準備書面作成を開始しました。作成した準備書面は、十数枚となりました。
その後この訴訟は請求額の全額を支払われる和解を成立させて終了し、実際にその金額が支払われたため、支払額15万円の14%である2万1千円をお支払いいただいて、依頼終了となりました。
請求額10万円台というのはあまり多くありませんが、当事務所では通常このように対応しています。
料率の変更について
平成26年5月から、上記の料率について6%の部分を標準で5%に、14%の部分を標準で15%に変更しています。
支払督促本人申立の失敗例訴訟中の問題
お尋ね:私は香川県に住んでいます。以前東京で働いていた折に給料と立て替え費用の未払いにあい、東京の裁判所に郵送で支払督促を申し立てたら会社から異議が出ました
支払督促の申立はたしかに比較的簡単です。その活用を誤った方からのお尋ねです。
提案:申立を取り下げてから、最寄りの裁判所に通常訴訟を起こすよう検討します
この提案自体は、労働相談を通じてご事情を聞くことで可能です。実際に通常訴訟等の対応が決まった場合、書類作成・訴訟代理等のご依頼をお受けします。
説明
月給制で何ヶ月分かの賃金が未払いになった場合などに、比較的簡単に使えると思えてしまう裁判手続きの一つが支払督促です。これは、申立に応じて一方的に発布されるかわりに相手が異議を出せば、同じ裁判所で通常訴訟に移ることになっています。
信じられないのは、そうした制度と知りながら郵送での申立を勧めるウェブサイトがあることです。これを信じてしまった方からのお尋ねですが、対応方法は二通りあります。
一つは、そのまま差額を払って東京の裁判所で通常訴訟にする方法です。裁判所に自分で出頭できたり、当事務所で訴訟代理できる位置関係に裁判所があればそうします。
相手に対する請求のなかに、訴訟提起時の管轄を労働者側有利にできそうな請求が混じっていれば、支払督促の申立を直ちに取り下げてしまいます。住所地最寄りの香川県の裁判所で、新たに訴訟を提起するのです。
これを可能にするには、賃金以外に会社にお金を貸していたり、会社のために費用を立て替えているなど、持参債務の性質を明らかに持っている請求を労働者が持っている必要があります。ただし、これを試みても相手側から訴訟を東京の裁判所に移送するよう申立が出てくることがあり、この場合に専門家の支援がなく対処できるかは少々微妙です。
管轄がないことを承知してわざと労働者の住所地最寄りの裁判所に提訴してしまい、相手がなにか間違ってそのまま応訴してくれることを期待する、という方法をとることもまれにありますが、もちろん万人向けではありません。