登場人物
砂上 清(以下では、砂上)
有限会社砂上開発の代表取締役にして行政書士・土地家屋調査士砂上清事務所の『センセイ』(業界内では、オヤジともいうらしい)。筆者が在職していた平成11年当時の推定年齢40代前半。
毎朝補助者があいさつしても、自らは絶対あいさつを返さないというトンデモナイ行動特性を持つ。このコンテンツのタイトルにもなってしまった、筆者にとって職業生活上最大の反面教師の一人。
砂上 真弥子
砂上の妻。現在は登録していないが行政書士有資格者。砂上事務所の行政書士業務を一部担当すると共に有限会社砂上開発の取締役である。朝10時頃事務所に出てきて、午後3時には帰る。こいつが筆者を即時解雇する際に言い放った『無理して居んでもいいよ』という言葉は、丁稚に挨拶できない旦那とならんで、このコンテンツ作成のきっかけとなった。
行政書士・土地家屋調査士・測量士砂上清事務所(以下、砂上事務所)
中小都市の法務支局の近くにある、見かけだけはこぎれいな事務所。
当時は補助者を3人ほど雇用し、大手のハウスメーカー2社をとりこんでおり、いつも非常に繁忙。『オヤジ』のすばらしいパーソナリティもあって、創業以来補助者の定着率は非常に悪い。まれに出現する年単位で在職できる者と、1〜3ヶ月で消える大多数の者とにはっきりと別れる傾向があった。実は筆者の在職期間5ヶ月は、当時としては長いほうに属する。
主たる業務は農地転用・開発許可申請・官民境界確定、建物新築や土地分筆といった表示登記とこれらに付随する測量。典型的な「農転−開発型の事務所」だが、筆者約五ヶ月の在職期間を通じて砂上が自分で測量をしたり書類を作ったりしているのをみた機会は、両手の指ほどもない。良くも悪くも取引先の意向最優先。
書類の偽造ですか? …そりゃぁもう。
有限会社砂上開発
砂上夫婦のファミリー企業。登記上の本社を砂上事務所と同じ住所に置き、役員は砂上夫妻の2名。登記上の目的として書かれているコインランドリーは、実際に経営している。
浜浦さん
砂上事務所の番頭的存在。この当時勤続約8年で、推定30歳。筆者が入所した年の暮れに、自ら独立開業のため円満退職した。勤続の長さと作業の能力から、砂上事務所においては成功したと評価される人物。しかし砂上とその事務所に対する批評は時に
- 「インチキ事務所」
- 「仕事は補助者任せ」
- 「どうせ俺たち(補助者)は丁稚」
- 「仕事を受けた瞬間に、既に集金することしか考えてない」
などなど辛辣だったが、開業後しばらくして行政処分を受けるにいたった。砂上事務所で染まってしまった仕事のやり方を変えられなかったからだろうか。
蓮江さん
砂上事務所の補助者。筆者の就職時点で、勤続約半年。20代前半で、筆者より1つか2つ下の歳だった。土地家屋調査士の資格取得を目指していたが、砂上としては彼の能力に見切りをつけており、主に建物表示登記のみを担当させるつもりでいた模様。
筆者が解雇された直後に突如自らも自主退職、愛知県から遠く離れた実家へかえる。どうやら筆者の離職そのものに考えさせられるところがあったらしい。
笹金さん
砂上事務所の補助者。筆者入所後の平成11年10月に採用された。これは、浜浦さん退社後をにらんで筆者および蓮江さん(当時、この両名は定着すると砂上は考えていた模様)に加えて補助者3名態勢を維持するため。
しかし翌年2月、筆者と蓮江さんが辞めて補助者は一時、彼一人となった。その後5月までの孤軍奮闘は被告側提出の証拠である賃金台帳より読みとれるが、現在砂上事務所にも在職せず合格・開業した記録もない。
蓮江さんと並んで、「常識に照らし、砂上事務所の労務管理に異常な点がある」という見方を在職中から共有できていた人物であったので、なんらか賢明な選択を行って退社したのだと思いたい。司法書士を目指すと言っていたのだが、平成24年時点で彼が司法書士として登録している記録はない。
行政書士・土地家屋調査士芦葉事務所(以下、芦葉事務所または芦葉)
砂上事務所へ就職する前の、筆者の勤め先。平成10年12月から翌年6月まで在職していたほか、平成12年2〜3月にこの者の作業を手伝い、この部分の報酬が不払いになったことを直接のきっかけに筆者は人生初の本人訴訟を起こすことになった。
雇用保険未加入の状態で筆者を路頭に迷わせたこの人に対する損害賠償請求訴訟を、筆者が砂上との訴訟の前に行ったのは、この者が未払い賃金の支払いを求めた筆者に『4月は(金の)払いが多くてよ、使ってまった』と笑い飛ばしたからである。つまりこの人こそが、現在の当事務所の存在に最大の影響力を及ぼした第三者といえる。
筆者に「社会保険労務士になる」という正しい道と、事務所経営に自らの財産を蕩尽する過程によって個人に対するフィナンシャルプランニングの重要性を認識させてくれた。砂上と並んで、最重要な反面教師である。
波田弁護士
わざわざ請求額20万円台前半の少額訴訟にまで出てきた、砂上の代理人。
しかしながらこの紛争に生産的関与をなしえたか否か、まったく不明の不思議なひと。当時はこの方の言動にいちいち驚愕したが、開業後いろんな弁護士をみて『これが普通なんだ』と思えるようにはなった。それがよいことなのかどうかは、わからない。
ぼく
筆者。三重大学生物資源学部卒業2年後の平成10年に、司法書士試験合格。
大卒と同時に測量士補になれたこともあって、脳天気に土地家屋調査士の資格取得を目指して同年12月、行政書士・土地家屋調査士芦葉事務所に入所し、翌平成11年6月解雇される。当時25歳。
さらに同年8月、この記事の主たる舞台となる砂上事務所へ採用されるも、翌平成12年2月、また突如解雇される。
これがきっかけで、自分が労働法に無知だったことに気づく。以後必死でこの分野の学習に注力するとともに、芦葉事務所に対しては平成12年11月から平成13年6月まで、砂上事務所に対しては平成13年10月に訴訟を起こしていずれも実質勝利。芦葉との訴訟と並行して試験勉強をおこない、平成13年8月の社会保険労務士試験に合格した。
平成12年4月以降平成15年夏の当事務所開設にいたるまで、3年強のあいだ工場内の偽装請負業者に期間従業員として在職。工場内ライン作業者、主任、あるときは上司と組んでのクーデターの共謀者として、言ってしまえばまさに偽装請負だったこの手の職場における労働紛争&労務管理の問題点をつぶさに見せてもらった。その結果と相まって「個人のお客さまのためにサービスを提供する事務所」の構築を目指して三十路を迷走中。
このコンテンツは、ブラックな零細企業の残業代不払いと本人訴訟の体験談です
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