かんたん!司法書士の選びかた登記費用の見積もりを取る・読む・比較するために
はじめに不動産登記で、司法書士の費用を比べて考えたい方へ
司法書士も選んで決めませんか登記費用の見積書を取れる・読めるようにしましょう
家を建てたり土地を相続することは、一生に何度もあることではありません。
住宅新築なら時には数千万円におよぶその総費用のうち、『司法書士に不動産登記申請を依頼する費用と実費』は住宅一軒なら数十万円。
投じる費用や得られる遺産の数%に満たない、ということもできます。
だからといって、今まで顔もみたことのない司法書士とかいう人の言われるままにお金を取られていい、とは思えない方のためにこのコンテンツを作りました。
「住宅ローンの金融機関を選ぶように、あるいはハウスメーカーや不動産屋さんを選ぶように、司法書士も比較して選びませんか?あなたのお財布のために」
というのがファイナンシャルプランナーを兼ねる筆者の提案です。
筆者は無料相談や住宅売買の依頼を集めることには興味がないのですが、生前贈与や相続あるいは離婚時の不動産名義変更では皆さんに選んでほしい司法書士の一人です。
住宅売買と違ってこちらの登記は、ご依頼をきっかけにお客さまと長くつきあっていけるからです。
「見積もりは欲しいが、何を聞いたらいいかわからない」もっともだと思います
「電話をしておいてどうかと思うが、何を聞いたらいいのかもわからない」
登記費用の見積もり依頼のお客さまから聞いたことがあります。
これはもっともなことだと思うのです。このコンテンツを執筆するきっかけにもなりました。
マンションの購入や住宅ローンの借り換えで登記費用の見積書を比較したり司法書士をよりよく選ぶためには、依頼を出す人にも準備してほしいことがあります。
不動産登記費用の見積もりや登記の相談で、司法書士からどのようなことがお聞きできたら迅速に、あるいは正確に費用や手続きを回答できるかについても説明することにしましょう。
住宅の購入や新築だけではなく、相続や贈与など一般的にあり得る不動産名義変更の場面ごとに、司法書士がお客さまから知りたいことの説明も加えています。
抵当権設定登記の本人申請は当分無理です一部金融機関を除きます
住宅取得あるいは建築資金を借りるときの抵当権設定登記を自分でやろう、と考えている人の参考になる記事は、このコンテンツにはありません。見方を変えて考えてみましょう。
『抵当権設定登記(お金を借りる人の利益にはならない登記)を、債務者(お金を借りる人)が自分でちゃんと行う』
これをあっさり信じる抵当権者(お金を貸す人)はいません。はっきり言えば、
- 「会社は担保設定の登記をミスした場合、株主から責任を問われうる存在であってあなたと債権者だけの関係が問題なのではない」
- 「そもそも自分の都合ばかり考えている人間に、自分の大事な書類を預ける人はいない」
世の中そういうものです。そのためにお金を貸す人にも借りる人にも中立であり、損害賠償責任保険に入ってもいる司法書士に書類を渡して登記をさせるのです。抵当権設定後に融資が実行できる一部の金融機関を除いて、今後も抵当権設定登記を本人申請することは一般化しません。
こうした実情を説明せずに素人の権利意識をあおって不動産登記の本人申請を勧める情報商材やウェブサイトもあります。
そうしたことに関与している事務所の内情も知っていますが、実は司法書士が在籍していない・架空の組織を名乗って集客する・業界団体や監督官庁に呼び出されたり注意されたりしている、といった問題もあったりします。セミナーを開いたり書籍を売りつけることができれば全国規模での金儲けになると考えて怪しい商売に邁進する事務所もあることは依頼人の側も承知しておいたほうがいいでしょう。そうした事務所を育てているのはもちろん、そのサービスを利用する人です。
費用でしか比べられない人は士業として、相手にしませんムダだからです
司法書士の費用を比べよう、などというコンテンツを作ってはいますが、依頼費用の安さで争うのは士業のあり方として愚劣だと筆者は考えます。
他事務所が後から100円でも安い見積もりを出せばそちらに流れるような人々を相手にするのもむなしいので、筆者は不動産業者が関わる住宅購入でだけ高めの報酬を設定しています。
比べた後は捨てる見積もりを要求されるところまではいいとしても、結果として無駄になる対応をする司法書士の時間は減らしたい(必要なデータは決まっているのだから、最初から用意してほしい)というのがこのコンテンツを書いた本当の理由です。
特に住宅購入に関わる人が営業や設計担当者、さらには士業のタダ働きを当然視する発想に筆者は強い違和感を持ちます。
そんな人の見積もりを回避してgoogle mapの口コミで最低評価をもらったこともあります(苦笑)
司法書士を使う理由は手続の代行だけ?
ではありません。知識や信頼性も考えてください
相続以外の不動産名義変更では、不動産を手放す人ともらう人という形で立場が対立する相手がいるのですから、自分で登記をするという人はそちらの方のことも考えてみたらどうかと思うのです。
不動産登記において司法書士は、お金を出す人だけの味方にはなりません。そういうものだからこそ、立場が違う人達から権利書や印鑑証明書を預けてもらえるのです。
その費用をカットできれば嬉しいな、という発想は、無保険の自動車を運転しても事故が起きなければ保険料を払わずに済むから嬉しいな、というのと同じです。
つまり、周りの人から見れば注意を要する=普段は問題なくてもうっかり関わりを持つと財産面で大損害を発生させるタイプの人である可能性もあります。
車の運転も不動産譲渡も、普段は自動車保険やら司法書士やらがなくても結構うまく行っています。それがない状態で事故が起きたときには破産するほどの損害になる、そして事故はときどき起きている、という点でも似ているかもしれません。
先ほども申しましたが、司法書士を登記に使うことは司法書士を通じてその損害賠償責任保険を利用できる、ということでもあります。筆者のように相続や離婚などの非定型的な案件で相談を重視する事務所では、もちろん知識や経験を利用できる、ということにもなります。
自分で登記申請したくなる見積書をぶつけてくる人もいます。お客さまから相談を受けます
しかしながら他の司法書士さんが不動産登記にあたって請求するお金の額と内容については、筆者自身も首をかしげざるを得ないものも確かにあります。一声掛けたら数万円値引きされた、ということも聞きましたし、筆者が3万円で行う手続きに15万円の値段がついていた見積書も見ました。
いっそ登記を自分でしたいというお考えも、まぁもっともだとは思います。そんなときでも手続きの途中までを自分で行い肝心な部分だけ司法書士に引き継ぐことで、費用対効果に優れた結果にたどりつける可能性が残っています。贈与や相続などの手続きで特におすすめできる考え方です。
こうした、司法書士も含んだ複数当事者間ですぐには信頼関係が築けない状況のなかで、不動産登記をめぐってどうすれば少しはましな見積もりの提示にたどり着けるか、どう比べたらいいのか、これからその方法を考えていきましょう。